帝人は、マルチマテリアルによる部材の提案を行なっている。人とくるまのテクノロジー展2019横浜でも、さまざまな部材を樹脂に材料置換する例を展示していた。
この特徴的なふたこぶの部材は、想像の通り、BMW i8ロードスターの外板用パネルだ。重量は9.5kg。スチールからSMC材(シート・モールディング・コンパウンド)へ材料置換をすることで、40%の軽量化を実現している。アルミと比べても5%軽量だという。表面のクオリティもクラスAで質感も問題ない。
スチールからSMCだとコスト増になると考えられるが、i8ロードスターのような少量生産の場合、金属材料では複数のプレス金型が必要な形状でも(まさにこのパネルがそうだ)SMCは最小数(たとえば、1型)で成形できるから、コスト的にもスチールより安くできる場合もある。
こちらは、ジャガーXFスポーツブレークのテイルゲート。アウターは熱可塑性のサーモプラスチックで、インナーは熱硬化性のGF-SMC(ガラス繊維SMC)を組み合わせることで従来の樹脂バックドアに比べて補強リーンフォースを低減しつつ軽量化もできたという。このテイルゲートの重量は13kgだ。
緑色のドアは、シボレー・コルベットのもの。生産されている製品はGF-SMCのアウターパネル(これは、写真も同じ)とスチール製のインナー部品で構成されている。これに対して帝人は、スチール部分にCF-SMC(炭素繊維SMC)やGF-SMCを使うことで、サイドドアに求められる強度を保ちながらスチールを使った従来のドアから約35%の軽量化ができる「マルチマテリアルによるドアモジュール」の提案を行なっていた。
コストは、もちろんスチール製よりは高いが、アルミ製と同等を目指しているという。