イタリアのヴェネツィアで、アルカンターラ社主催の国際シンポジウム「Climate "How”」が開催された。気候変動への対応は待ったなし!そのためには、脱炭素化、SDGsに取り組む必要がある、とシンポジウムは提言する。
TEXT &PHOTO:鈴木慎一(Shin-ichi SUZUKI/MFi)
高級人工皮革のブランドと言えば、最初に思い浮かぶのは、アルカンターラだろう。フェラーリやランボルギーニ、アウディなど名だたる自動車メーカーの高級車の内装にアルカンターラは採用されてきた。そのアルカンターラ社の活動を取材するために、2月上旬イタリア・ヴェネツィアへ向かった。
向かった先は、ヴェネツィア旧市街からボートに乗って10分ほどにあるサン・セルヴォロ島である。ここにあるのは、アルカンターラの工場でも研究所でもなく、ベネチア国際大学(VIU)だ。VIUは、1995年に創設された国際的な研究拠点で、ヴェネツィア大学、ボストン大学、精華大学、サンクトペテルブルク欧州大学などが会員大学となっている。日本からは早稲田大学がメンバーだ。
このVIUとアルカンターラ社が世界銀行グループとConnect4Climateグローバルパートナーシッププログラムの支援を受けて、国際シンポジウムを開催したのだ。テーマは、『Climate "How"』(気候変動における"How" いかにして社会に連動し、脱炭素化を展開するか」である。
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それぞれが語るのは、「危機感」である。気候変動は、すでに「危機的な状況」で、いま「What(気候変動って何?)や「Why(なぜそうなった?)」と言っている段階ではなく、まさに「How(どうやって対応するのか)」が重要だということだ。
今回のシンポジウムの仕掛け人であるアルカンターラ社のアンドレア・ボラーニョCEOにインタビューする機会に恵まれた。一私企業であるアルカンターラが、なぜここまでサステナビリティやカーボンニュートラルと向き合うのか?
ボラーニョCEOは、1950年生まれのイタリア人。ジェノバ大学で化学工学を、その後ボッコーニ大学でMBAを取得している。スーツの着こなし、迫力のある佇まい、人を惹きつける笑顔……我々が思い浮かべる素敵なイタリア男性像そのものだ。ただし、そのルックスから「カーボンニュートラル」「サステナビリティ」「SDGs」という言葉は失礼ながら思い浮かばない。