日本ゴアは、パナソニックの家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」の最新第6世代製品の「スタック」に、 W. L. Gore & Associates(ゴア)のプロトン交換膜(PEM)「ゴアセレクト メンブレン」が採用されたと発表した。
パナソニックのエネファームにおいて発電を担う燃料電池スタックは、セパレーターに挟み込まれた膜/電極接合体(MEA)の集合体で構成されている。MEAの燃料極に水素、空気極に酸素が供給され、電気化学反応により発電が行われる。ゴアセレクトメンブレンはMEAの電気化学反応において発生する水素イオン(プロトン)を燃料極から空気極に移送する役割を果たす。
パナソニックのエネファームは2009年に第1世代が発売されて以来、高効率のコージェネレーションシステムとしてCO2排出の削減や家庭の光熱費の削減に貢献してきた。第6世代製品では、総合効率がこれまでの95%からさらに97%へと引き上げられたほか、発電と給湯に限定されていたエネルギー利用の対象を暖房にまで広げており、熱を床暖房に活用することが可能になった。ゴアはパナソニックと第1世代の開発段階から協力関係を続けており、各世代の開発において厳しい要求に応え、パナソニックのエネファームの技術革新、性能向上の一役を担ってきた。
ゴアセレクトメンブレンは、ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)を用いた独自の補強膜技術により、十分な強度を保ちながら薄膜化することが可能だ。これにより、高プロトン伝導性による高い発電性能の実現に貢献するとともに、システムの長期使用においてイオン交換膜に対して求められる物理的耐久性能を満たしている。また、高い化学耐久性能を備え、家庭用燃料電池システムのプロトン交換膜として高く評価されている。
ゴアはプロトン交換膜(PEM)[p1]燃料電池技術で世界をリードしている。ゴアセレクトメンブレンは要求の厳しい燃料電池自動車アプリケーションの業界標準であり、トヨタ自動車の「MIRAI」や本田技研工業株式会社の「クラリティFUELCELL」、現代自動車の「NEXO」などの市販されている燃料電池自動車に採用されている。
温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みが強まる中で、多くの国が定置用燃料電池システムや燃料電池自動車などの水素技術の利用を促進する方法を探っている。ゴアの燃料電池部材は、ゴアが1980年代前半に燃料電池業界に参入して以来、すでに世界各国で数千のアプリケーションに採用されている。