ルーフを閉めた際の想像以上に高い静粛性や、ロングドライブでリラックスできる外界との遮断された感覚こそ、ソフトトップ車に対するロードスターRF最大のアドバンテージ。その特徴をより活かすべく、加飾や装備には細かなアップグレードが施された。大人のクーペに相応しいマツダ ロードスターRFのディテールをチェックしていこう。
REPORT●蔵田智洋
ASSISTANT●住吉史衣
PHOTO●森 信英/平野 陽/宮門秀行
取材車のプロフィール
《ロードスターRF VS》
ボディカラー: マシーングレープレミアムメタリック
メーカーオプション装備:2トーンルーフ(ピアノブラック)/ナビゲーション用SD カードPLUS(ディーラーオプション)
※一部のカットは、別グレードの車両を撮影しています。
オープンの開放感とクーペの快適性を両立
3分割されたルーフとバックウインドウの動きをオーバーラップさせ、流れるように開閉する電動ハードトップ。操作はロックも含めすべてがスイッチのワンプッシュで完結する。中央がピアノブラックの2トーンルーフ仕様(「VS」にメーカーオプション)はラインが更に際立つ。
新設定の本革シート表皮
マツダ ロードスターRFの運転席まわり
ソフトトップ車と基本形状は共通
先代となる三代目NC型よりもAピラーが後方へ移動し、三角窓とドアミラーの位置が適正化されたため前方視界は上下、左右共に拡大している。ダッシュボード上面は繊細かつ緩やかにラウンドしており、それぞれのパネルの面の質感も上質だ。
大型回転計を中央に配置するのも先代から変更された部分。高回転域が真上となる垂直指針はNB型からの伝統だ。ロードスターRFでは左の水温計/燃費計と各種インフォメーションを表示する部分に、新たに4.6インチTFTカラー液晶ディスプレイが採用された。
《ロードスターRFの多彩なディスプレイ画面》
《ロードスターRF AT車の運転環境》
マツダ ロードスターRFの居住性や乗り降りのしやすさ
非日常を感じさせてくれる低さは健在
先代NC型に対し35㎜後方、かつ20㎜低く座るため、居住スペースはむしろ広く感じられる。Aピラーは歴代モデル比較で最も後退し、ドライバーに近くすることで視界を広げている。ステアリングは先代からチルト機構が追加されたが伝統的にテレスコピック機構は装備しない。
クローズド状態でもヘッドクリアランスは比較的余裕がある。着座位置が低くドライバー中心に専用設計された恩恵だが、小柄な人は視界と適正なポジションが取れるか確認しておきたい。
スポーツカーらしい長いドアを開くと、乗り込むだけで非日常の世界へと導いてくれる。着座位置はかなり低く特別な雰囲気。厚いサイドシル、ドアスピーカーの張り出しで足運びは注意が必要。
マツダ ロードスターRFのシート/インテリアのバリエーション
各グレードそれぞれにこだわりあるシート構造や表皮を設定
マツダ ロードスターRFのAV・ナビ
様々な機能を統合したマツダ コネクト
マツダ コネクトは常に最新のサービスを利用できるコネクティビティシステムで、ソフトフェアのアップデートにより進化を続けている。ディーラーオプションのSDカードPLUSの追加でナビゲーション機能も実現。スマートフォンとの接続でソーシャルネットワークコミュニケーション機能を車中でも手軽かつ安全に使用可能だ。
ナビゲーションやオーディオの操作は前方から視線を逸らさずに、手元のコマンダーを見ないで行なうことでより安全運転に寄与できるという設計思想を採用。ダイヤルを回してメニューを選択し、決定はコマンダーをプッシュするだけだ。
Bose社と共同開発のロードスターRF専用オーディオを用意。独自のTrueSpace技術でオープン時にも広がりあるサウンドを実現し、ノイズを分析して聞きやすい音質に自動補正する機能も備える。「VS」「RS」は標準で「S」はオプション。
7インチWVGAセンターディスプレイはダッシュボード中央に配置。停車時にはタッチパネル操作も行なえる。2本の指での地図画面の拡大/縮小操作も可能だ。
マツダ ロードスターRFの空調(エアコン)
オートエアコンを全車に標準装備
ソフトトップ車の「S」はマニュアルエアコンだが、ロードスターRFでは全車がオートにアップグレード。空調パネルは他のマツダ車と共通イメージのデザインだ。操作ダイヤルの加飾も全車シルバーリングとなる。左から温度調整とエアコンON/OFF、風量調整と内気循環の切り替え、吹き出し口選択とデフロスターON/OFFとなる。
マツダ ロードスターRFのハードトップの開閉
ファストバック形状が生む利点
電動開閉式ルーフは座席後部に格納されるのでオープン時もトランク容量は減少しない。車速10㎞/h未満であれば走行中でも開閉できる新制御も導入。マツダの執念とも言える精密設計と生産技術で、美しいフォルムと手軽なオープン走行を実現した。
リヤフェンダーとのパーティングラインにもこだわったルーフ後部は、このようにフルオープン状態でも残る。サイドウインドウに見える黒い部分はガラスではなくダミーだ。
オープン時はバックウインドウが格納され、乗員の後方もこのように開放状態に。心地よい風と排気サウンドを、適度な囲まれ感のある空間で安心して楽しめる。
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マツダ ロードスターRFの気になる装備
■サンバイザー
■自動防眩ルームミラー
■車線逸脱防止システム(LDWS)
■後方の危険認知支援システム
■アドバンストキー
マツダ ロードスターRFの車内の収納スペース
《脱着式カップホルダーは好みの位置に装着可能》
マツダ ロードスターRFのラゲッジルーム(トランク)
ソフトトップ車と開口部の形状が異なり、特に車両前方側の開口幅が少し狭い。先代RHTのトランク容量150ℓに対しロードスターRFは127ℓと小さくなったが、ND型ソフトトップ車の130ℓとはほぼ同等。内部形状や開閉部トリムを工夫し実用性を高めた。ダンパー式でヒンジ突き出しがないのも美点だ。
トランク内の深さがかなりあり、550㎜×400㎜×220㎜以内の機内持込用ソフトタイプキャリーバッグをふたつ積載できるので、ふたりでも小旅行くらいはこなせる。荷室左側にはラゲッジルームランプを装備。全面トリミングされており質感も上々だ。