
新型V60はボルボ新世代の設計プラットフォーム・SPAを用いて設えられた。プラグインハイブリッドという先進性は一部グレードに含まれるものの、安全性、運動性、操縦性といったクルマの根源にかかわるポイントについては同社の知見を活かし、きわめて順当で確実な造りを重ねている。特筆すべきは、静粛性や安定性と両立したこと。 ボルボの良心を体現するかのような技術的なトピックの数々をご紹介しよう。
ボルボ各モデルとの寸法比較

新型が登場すると大抵は大型化するところ、ボルボはV60の刷新に当たり全幅を縮小させ日常の使い勝手を高めた。その実現には日本からの要望が影響している。全高を低めSUVと差別化しているのも特徴。
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コックピットの視界性能

新世代プラットフォーム
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SPAと称する設計モジュールは、パワートレインや懸架装置、衝突性能などを共通化、パッケージングや車両内外装などの要件はフレキシブルとすることで効率的な設計を可能とする。SPAを用いることで先代V60に対してフロントホイールハウスを前進、FRのようなスタイリングを得た。
ラゲッジスペースとトノカバー

V60のボディ部材構成、XC60との比較
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左に示すのがV60、比較として先行したXC60のボディ構造を右に示す。両者 ともにホットスタンプを用いる極超高張力鋼板(赤)をABCピラーやサイドシルなど、多くの部位に用いる。通常この部材はBピラーとサイドシル、バンパービームへの採用にとどまることが多く、これだけの広範囲に渡るのはボルボの特長といえるだろう。そのバンパービームはアルミ部材とし、あわせてフロントサスタワーもキャストアルミとした。強度と剛性を形状の工夫で両立できる近年のトレンド技術である。
エルククラッシュテストの様子

スウェーデンにおける交通事故種別比

ボルボ事故調査隊

オフセット衝突実験
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詳細は発表されていないが、おそらく上が40%オフセット、下が25%オフセット衝突実験。 とくに昨年から開始した25%のスモールオフセット試験はボディに与えるダメージが甚大である。しかしキャビンの変形が極少であることがわかる。
アクティブボンネット (歩行者保護機能)
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フロントバンパーに備わる5つの加速度センサーが衝突を検知すると、ボンネット後端のピストンを作動させてフロントフードを持ち上げ、歩行者に与える衝突エネルギーを軽減する。25〜50km/hで作動。
衝撃吸収機構付きフロントシート

道路逸脱などによる落下の際、図に示すようにピボット部にスライド機構を設け、乗員保護のために垂直方向の衝撃を吸収する。
衝突時ブレーキペダルリリース機能

正面衝突発生時に、ブレーキペダルのトラベルを火薬点火装置によって伸張、通常時よりさらに踏み込めるようにする仕組み。
WHIPS (後部衝撃吸収リクライニング機構付フロントシート)

むち打ちを軽減する装備。追突時の乗員の動きに合わせてフロントシートをリクライニングさせることで衝撃を吸収する。
デュアルモード・エアバッグ (運転席/助手席)

ふたつの膨張パターンを持つエアバッグ。 衝撃が小さいときはエアバッグを展開せず、プリテンショナー付きシートベルトで緊縛。
T5エンジン

ローリングシャシー

アクスルモーターユニット

T8/T6パワートレイン

フロントセクション


リヤセクション


リヤサスペンション
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フロントサスペンション
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V60の前後サスペンション

FOUR-C制御
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快適性と操縦性の両立も可能なドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシーは、4つのドライブモードを選択可能。エンジン、トランスミッション、アクセル、ステアリングが最適な特性に切り替わる。V60はスプリングとの組み合わせとした。「Individual 」モードでは好みのセッティングも可能。
RACAMセンサー
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ミリ波レーダーとシングルカメラを一体化したセンサーユニット・ASDMをキーデバイスとして用いる。カメラの解像度を高めたことで、赤外線レーザーレーダーを廃し従来以上の検知能力を実現した。
大型動物検知機能

ボルボ特有の先進安全技術。大きく重い胴体が直接キャビンに飛び込んでくる理由がこの画像からもわかるだろう。周囲は人里離れた大自然、いち早く検知し衝突を避けなければ重大な事故につながるのだ。 

モーターファン別冊 インポートシリーズ Vol.65 ボルボV60のすべて
