昨年の12月20日、日本海で韓国海軍の駆逐艦が、自衛隊のP-1哨戒機に火器管制レーダーを照射し大騒ぎとなったが、国内の速度取り締まりにおいては、レーダー照射は日常茶飯事。ミサイルは飛んでこないものの、検挙されるともれなく交通違反切符を頂戴するというから怖さは同じ(?)。ところが、国内の旧型レーダー式固定オービス、R型に限って言えば、「実はほとんどダミー」という噂が耐えない。その真相は?
旧型レーダー式オービス(R型)ってこんなやつ!
R型オービスは、本体(撮影部=カメラ)と計測用レーダーアンテナ部がそれぞれ別体。まず、アンテナ部は道路上のアーチに路面に対して約30度傾けてセットされ、その数10m後方の路肩や中央分離帯に本体を設置。レーダーアンテナの速度計測範囲は5~15mといわれている。
その計測方法は、いわゆるドップラー効果方式。レーダー波の照射範囲にクルマが進入すると、そのクルマに当たったレーダー波と跳ね返えって来たレーダー波との周波数の差で速度を算出。それが設定速度(高速道路:40km/hオーバー以上/一般道:30km/hオーバー以上)を超えていた場合に、後方のカメラで赤外線ストロボと赤外線フイルムにより、ナンバーとドライバーの顔がはっきりわかるレベルで撮影。フィルムは後に警察官(警察関係者)が回収し、その時に新しいフィルムに交換される。
後の処理は、他のオービスと同じ。ナンバーからクルマの所有者を割り出した上で所有者に通知。警察署、あるいは交通機動隊にドライバーを呼び出し速度が記載された記録紙と写真を提示して検挙する(基本的にすべて赤切符)。ただし、写真が不鮮明な場合や、明らかにプライバシーの侵害に当たるような場合は、お咎めなしというケースもままにあるようだ。
フィルムはなんと36枚撮り! もはや時代遅れのR型に未来はない?
レーダー式に限らず、旧型オービスのカメラ(銀塩式)に入っているフィルムは36枚撮り。つまり、R型は、36回光ったらただのレーダー照射機(本体はただの箱)と化すわけだ。フイルムの回収&交換スパンは管轄によって様々だが、週に1回としても、交通量が多ければ多いほど、常時臨戦態勢とはとてもいえない状況であることは間違いない。ネット等で「光ったけど通知が来ない」という書き込みを見かけるが、たぶん、フィルム切れを起こしていたのだろう。
また、その回収&交換スパンの違いによるものだと思われるが、違反した(光った)日から1ヶ月以上経っても通知が来ないというケースがかなりあり、違反者にしてみれば記憶が薄れることでうまく弁明ができなくなるという理不尽さもある。さらに、レーダーによる速度測定には街中を飛び交う電磁波などの影響を受け、誤測定を起こしやすいという疑惑がつきもの。誤測定疑惑が多発し、メーカーが撤退を余儀なくされたため、今や絶賛撤去中のHシステムの例を見るとよくわかるはずだ。
ところで、現在、R型オービスは国内に29機が設置されているが、実は、噂どおり、かなりの数が、すでにダミー化されている可能性が高い。なにしろ初期型がデビューしてから40年以上が経過しており、製造メーカーである三菱電機と松下通信工業(現在のパナソニックモバイルコミニュケーションズ)の撤退と相まって、点検や部品交換といったメンテナンスが難しい状況となっているからだ。それでも残存している理由は、撤去費用の問題もあるが、あえて残すことで、いわゆる「スピード抑止効果」を発揮させようという警察のもくろみにもある。「危険な事故や違反を未然に防ぐ」というのが交通取締本来の意義であることを考えれば、むしろ歓迎だ。
ちなみに、ダミーかどうかは、 レーダー探知機で確認できるが、昨今の探知機はGPSを使った位置情報が優先され警告されるため、本来のレーダー探知機能は、レーダー式のネズミ捕りくらいにしか発揮のしようが無い。そんな場合は反対車線を走ってみよう。生きていればオービスを過ぎたあたりで漏れた電波を拾うことができるはずだ。逆に、何の反応もなかったら、ほぼダミーと考えていい。さらに、事前の「自動速度取締機設置路線」という類いの警告板がはずれていたら、ダミーの確率がかなりアップする。
ただし、交通取り締まりのイニシアチブは完全に警察のもの。レーダー式、ループコイル式に限らず、ダミーと思われていたオービスが突然復帰することもないわけじゃないということは頭に入れておこう。