世界的SUV人気の潮流に漏れず、コンパクトクラスでも各種のSUVがラインナップされる。注目したいのは、コンパクトクラスのS U V には、他のクラスにも増して個性的なラインナップが揃っていること。ここではそんなS U V の数々をチェックする。
レポート=岡島裕二
日本独自の個性が光る
コンパクトSUV
ひと昔前のコンパクトカーといえば近所のアシやセカンドカー、免許を取りたての初心者が選ぶ安価なクルマというイメージが強かったが、今は様子が異なる。ハイブリッドやディーゼルエンジンを搭載した高級路線のエコカーやミニバンのような居住性を実現したハイトワゴンなど、ボディタイプも多岐に渡る。その中でもバラエティに富んでいて面白いのがSUVだ。ブームの火付け役となったアメリカでは大型SUVが人気だが、日本ではボディが大きいと持て余してしまう。そこで小型車づくりのノウハウに長けた日本のメーカーは独自のセールスポイントを盛り込みながら魅力的なコンパクトSUVを続々とデビューさせた。
今回はコンパクトSUVのトップセールスを記録しているヴェゼルとディーゼルエンジンの排気量をアップして、再び注目を集めたCX-3、ファニーなスタイリングで女性人気も高いクロスビー、コンパクトSUVのパイオニアといえるエスクードの4台をピックアップして、コンパクトSUVの魅力に迫ってみたい。
この中でも最も売れているホンダ・ヴェゼルは、いわゆるオールラウンドプレイヤー。クーペ風のフォルムを持った都会的なスタイリングは誰が乗っても似合う。センタータンクレイアウトによって、優れた後席の居住性を確保しながらも、広くて使いやすい荷室も手に入れている。そのため街乗り中心の人からレジャー派の人まで幅広いユーザーに選ばれた。エンジンも燃費の良い1.5ℓハイブリッドと1.5ℓ自然吸気の2本立てだから価格帯が広く、予算に応じてグレードを選ぶことができる。2014年から3年連続でSUVクラスの販売ランキング1位をマークした理由は、このようなトータルバランスが良かったことにほかならない。
マツダCX-3もヴェゼルと同じように洗練されたスタイリングと上質なインテリアを備えた都会派SUVだが、デミオをベースとしているため、よりコンパクトハッチバックに近いパッケージングになる。スタイリングはデミオと兄貴分のCX-5を上手く融合したデザインとなっており、小粒でも存在感がある。それでいながら今回集めた4台の中で唯一立体駐車場にも入る全高に抑えられているので都市部でも購入しやすい。インテリアもデミオに近いデザインだが、センターコンソールを拡大し、デミオにはない電動パーキングブレーキを装備して差別化を図った。ただし、後席や荷室の広さはデミオと大差ないため、あまり広くはなく、レジャーで使うには適していない。発売時は1.5ℓディーゼルだけだったが2.0ℓのガソリンが追加され、今年5月にはディーゼルの排気量が1.8ℓに拡大された。
大きいハスラーと言われることが多いスズキ・クロスビーは、ハスラーの良い点を受け継ぎ、弱点を克服したようなモデル。スタイリングのモチーフはハスラーに近いが、クロスビーのほうが全幅が20㎝近く大きいのでデザインに抑揚感がある。インテリアもクロスビーのほうが質感が高く、室内幅も余裕が増すので、助手席との乗員間距離も気にならない。しかも、これだけ居住性やデザインを向上させながらも、取り回しに関しては軽自動車並みの扱いやすさを実現している。
◆マツダCX-3
◆スズキ・エスクード
◆スズキ・クロスビー
◆ホンダ・ヴェゼル
☆キャラ立ちが明確な各車
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