JAF(日本自動車連盟)は、雪道(圧雪路※1)における「タイヤチェーンの装着の違いによる登坂・旋回性能の比較検証」を行い、その結果を12月14日(金)よりウェブサイトに公開した。
タイヤチェーンは駆動輪への装着が鉄則。しかし、誤って駆動輪以外に装着してしまうケースがあることから、装着するタイヤの位置の違いでどのような影響を及ぼすのか、前輪駆動のテスト車を用いてふたつの実験(路面はいずれも圧雪路)を行った。タイヤチェーン(非金属タイプ)はともに新品、ノーマルタイヤに装着している。
登坂テスト
勾配12%の坂道を上りきれるのかを検証。
タイヤチェーンを前輪(駆動輪)に装着した場合は、 チェーンが雪面をしっかりグリップし、スリップすることなく勾配12%の坂道を上りきることができた。 一方で、 後輪(非駆動輪)に装着した場合は、 坂道の途中でタイヤがスリップしてしまい、 上りきれなかった。
旋回テスト
旋回路(R=6m)に30km/hで進入し、パイロンに沿って曲がることができるかを検証。
タイヤチェーンを前輪(駆動輪)に装着した場合は、ドライバーのハンドル操作に合わせて車の向きが変わり、パイロンに沿って曲がることができた。一方で、後輪(非駆動輪)に装着した場合は、ハンドルを左に切っても操舵輪である前輪が滑ってしまい、走行ラインは外側に大きく膨らんでしまった。
参考:ブレーキテスト
登坂と旋回テストに加え、参考までに平坦路で、40km/hから急ブレーキを踏み、停止するまでの制動距離を計測器で測定。急ブレーキ時はABSが作動した。
前輪駆動車だと、タイヤチェーンを後輪(非駆動輪)に装着した場合は、前輪(駆動輪)に装着した場合と比べて、約7mも制動距離が延びた。ブレーキの際は前輪に荷重がかかり、前輪の制動力が重要になるため、特に誤装着の影響が大きくなったと思われる。
以上のテストから、タイヤチェーンは確実に駆動輪に装着しないと坂道を上れないだけでなく、カーブで対向車線に飛び出すなど、重大事故につながる可能性がある。タイヤチェーンの装着位置を車の取扱説明書で確認しておくことに加え、事前に装着する練習もしておこう。
12月10日(月)、国土交通省より「大雪時の道路交通の確保に向けた取り組みについて(チェーン規制の検討状況)」が発表された。今までよりタイヤチェーンを使用する場面が増えることも考えられる。急な降雪の可能性もあるので、常にタイヤチェーンを車内に備えておくよう心がけよう。