2018年11月5日にスバルが発表したリコール問題により、クルマ業界はもちろんのこと日本の自動車製造現場や自動車販売の現場に激震が走っている。
※今回のリコール問題については、当日にアップしたモーターファンの記事をご参照ください。 一連の検査不正に伴うリコールは約53万台。追加リコールにかかる費用は約65億円を見込んでいるというから、スバルオーナーにとっても不安感がぬぐい難い事態ではないだろうか。
ただ、こうした大きな問題は、言い換えれば社内の体制や制度を見直し、正しいモノづくりを行っていくための大きなチャンスである。しっかり自浄できることをユーザーに示せれば、時間はかかるだろうが高いレベルでの信頼回復が実現するはずだ。
そんな折、11月26日に三栄書房より刊行される「SUBARU STYLE」誌の取材のために訪れた東京・三鷹のスバルテクニカインターナショナル(STI)本社で平川良夫代表取締役社長にお会いし、リコール問題についてお話を伺うことができた。平川社長は、STIの社長であるとともに、株式会社SUBARUの技監という立場でもある。
今回のインタビューのテーマは、「STIのこれまで」を振り返り、「STIのブランドとは?」そして「STIはこれからどうなっていくのか」という内容のインタビューだったのだが、その最後にリコール問題に関する見解をお聞きしたのだ。
ひとつひとつ完全を目指して解決します
直接お客様と会話できるような場を毎年毎年継続したい
SS:
「STIとして、信頼回復のためにやるべきことは?」
平川社長:
「STIがスバルグループの一員として最優先でやらなければいけないことは、自分たちで決めたルールが漏れなく明示されていて、そのルールがルールどおりにやられているのか、というのは大前提です。しかし、法律というのは、ミニマムクライテリア(最低限の基準)です。だから、それさえできていればいいというものではなく、それはミニマムクライテリアなので、お客様がSTIに期待していることは、そのミニマムクライテリアだけをこなせばよいのではなくて、それになにかのプラスアルファの大きなものがそこに乗った上の水準を期待されています。社員ひとりひとりが何を、商品感として、あるいは品質感として乗せられるのか、あるいはアフターサービス感として何が乗せられることなのかということを明らかにして、この水準で進めましょうということにして、全員と会話して、社内のひとりひとりが乗せているのはこういうことですと。
(たとえば)フロントに大型アンダースポイラーを付けて、東北や北海道で雪たまりに突っ込んでも外れないことをきちんと確認していますよと。お客様もスリップして雪たまりに突っ込むこともありますが、それは法律に書いているミニマムクライテリアではありませんし、プラスアルファの品質としてそういうこと(フロントスポイラーが外れないことの確認)をやっていくのが我々STIの役目です。ということを、実験の現場の人間がちゃんと見える化しているとか、そういうことをひとつひとつ明らかにして、確認しあって進めているということです。
まだまだやれていないことがあるかと思いますが、直接お客様と会話できるような場を毎年毎年継続していって、本当にオープンにお客様と会話をして、お客様の気持ちを誤解しないで理解して、相互に議論して、期待してくださるような商品を生み出していければと思っています」