ルノー・日産自動車・三菱自動車が設立した戦略的ベンチャーキャピタルファンド「アライアンス・ベンチャーズ」は、完全自動運転(レベル4)の技術に特化した企業として中国で業界をリードするWeRide.ai社(旧:JingChi.ai社)の資金調達ラウンド(シリーズA)において、リード投資家をつとめたと発表した。
今回の投資は、次世代自動車技術の最先端に立つ起業家や新興企業を支援するアライアンス・ベンチャーズの戦略の一環で、中国への投資はWeRide.ai社が初めてのケース。アライアンス・ベンチャーズの支援により、WeRide.ai社は、完全自動運転(レベル4)に特化した中国の新興企業の中でグローバル規模の自動車会社グループから投資を受けることになり、戦略的提携を結ぶ最初の企業となる。
アライアンス・ベンチャーズとオープンイノベーションを担当するアライアンス グローバル バイス プレジデントのフランソワ・ドーサ氏は、「新しいモビリティサービスの開発に際し、自動運転システムはアライアンスの重要課題の一つです。アライアンスのメンバー各社は、中国などの主要市場にそうした技術を導入することを約束しており、要求が厳しい中国市場向けの完全自動運転システムの先駆者であるWeRide.ai社を支援できることを嬉しく思います」と話した。
WeRide.ai社のCEO兼 共同創業者でもあるトニー・ハン氏は、「財務的投資に加えて、ルノー・日産自動車・三菱自動車とWeRide.aiは特定の領域で戦略的に提携することで関係を一層強化していきます。自動運転革命は、新たに2.0の段階へ突入したと確信しています。WeRide.aiは技術革命をリードし続け、皆様に実質的な多大な利益をもたらしていきます」と話した。
WeRide.ai社は、今回の資金調達ラウンドではモルガン・スタンレーからアドバイスを受けており、自動車、交通サービス、都市の建築設計に対する人々の意識を大きく変えるとされる中国での自動運転技術の開発に懸命に取り組んでいる。投資された資金を活用し、WeRide.ai社は、2019年に自動運転車500台を用いて、実走行距離を500万キロまで伸ばすとともに、広州市と安慶市で主要パートナー企業とともに運用および商業化の実験を行う計画。同社の自動運転車の累計走行距離はテスト開始からすでに6万キロを超えており、世界で3千人以上にサービスを提供してきた。
前回の資金調達ラウンドでリード投資家となったQimingベンチャー・パートナーズは今回のラウンドにも参加しており、他にもHanforキャピタル、Atopキャピタル、ジョンソン・エレクトリック、シャオペン・フー、Idinvestパートナーズ、OceanIQキャピタルが今回のラウンドに参加した。
WeRide.ai社は現在、世界で200名の従業員を抱えており、そのうちエンジニアが70%を占めている。中国の自動運転車企業の中では初めて無人運転車の遠隔操作に5Gネットワークを使用する。同社は2020年までに中国の都市に自動運転車を広め、自動運転技術の大規模商用利用を世界で初めて実施することを目指している。