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ミクニ:独自の道を歩む吸気コンポーネントのグローバル企業


1923年に自転車部品の輸入商社として創業したミクニは、32年に海外メーカーからキャブレター(気化器)製造権を取得し、以降はエンジンの吸気コンポーネント製造を主業として、現在に至る。

 ミクニは機械的要素だけでなく電子制御からシステム開発も行っており、海外にも拠点を構えるグローバル企業へと成長している。また自動車で培った技術をベースにガス制御機器の開発・製造も手掛け、海外とのネットワークを活かして航空機部品および芝刈機等の輸入・販売を行うなど、"ものづくり"を通じて多様な事業に取り組んでいる。




 そんなミクニの強みは、特定の完成車グループに属さない独立メーカーであること。また、少数精鋭で迅速かつ機動的な対応ができることもあげられる。そして第二次大戦前創業という老舗らしく、長年培った技術力を生かした高品質なものづくり力は、取引先の細かなニーズに対応。その結果、同社製品は日本のみならず海外の完成車メーカーに多数採用されている。技術的な強みは、コア技術である流体制御において、バルブやポンプなどのコンポーネント単体の開発にとどまらず、パワートレーンや車両全体のシミュレーションや評価を通じて、最適なシステム提案ができること。これによりミクニ製品は、クルマ本体の環境性能向上や快適性向上に大きく貢献
している。




積極的に設備投資をすることで、開発・生産の効率化と品質向上を加速させているミクニ。2016年3月には、実車ごと試験できる施設を新設した。

 将来の電動化や自動運転を見据えて、自動車業界は変革期を迎えている。ユーザーのライフスタイルや価値観の多様化も進んでおり、それに対応するため、サプライヤーに掛かる負荷は増加の一途を辿っている。そうした環境を生き抜くための、ミクニの"ものづくり"の方針を紹介しよう。それは『安全と品質』への取り組みは不変かつ普遍のものとして進化させつつ、『技術』を経営戦略の柱に据えて、人的および金銭的に研究開発へ注力を行い、技術基盤の強化を図るというものだ。




 具体的には、開発・生産に対して人的・経済的資源を積極投入している。開発では、世界各国の排ガス・燃費規制の評価が可能な実験設備棟の増設、MBD(モデルベース開発)や機能設計によるシステム全体の最適化やロバスト性の向上を図ると同時に、製品のプラットフォーム化を進めることにより、開発効率を向上させている。また生産では、生産効率と品質向上、ものづくり強化を図るために、多品種混流生産や高速自動化、IT技術活用によるスマートファクトリー化を推進している。




 長年培った技術を生かした確かなものづくりと、現在だけでなく未来を見据えた開発・生産への投資は、現場を日々刷新している。そんなミクニでは、大切な人材であるエンジニアを、どのように育成しているのだろうか。





「優れた製品・機能の進化・品質の向上は『人』が為せるものと考え、教育は重要課題として取り組んでいます。とくに、新入社員にはひとりずつ先輩社員を付けマンツーマンでフォローしています。具体的な業務においてはOJTに頼るところもありますが、自ら手を挙げて『やりたい』と言ったことはやらせる風土が当社の自慢。若いうちから海外で挑戦することも可能です。会社としてのキャリアアップに留まらず、エンジニア個人としてのスキルアップに全面的にサポートする体制で、人材育成に力を注いでいます。弊社が提供する製品技術は、完成車メーカーの想定を常に上回るものを目指し、それを実現しています。メンタリティとして、完成車メーカーとサプライヤーは、共に完成車を作り上げるパートナーという認識であり、それに基づいて役割分担をしているわけです。一台のクルマを生み出すに当たっては、多くのサプライヤーが参加して、各社の持つ技術が完成車を構成する機能のひとつひとつを担います。そうしたなかで、様々なニーズに応えるためにミクニだからできることとして考えたこと・工夫を凝らしたことが形になっていく。それがサプライヤーならではの『ものづくり』の醍醐味ですね」と開発本部長の唐澤利夫氏は語る。

二輪車用吸気コンポーネントは世界トップレベルのシェアを有している。同社はレーシングチーム「ミクニテリー&カリー」を運営している。チーム代表の待島敦久氏、チーム監督の高橋淳一郎氏のみならず、スタッフ全員がミクニ社員という正真正銘の社内チームだ。

株式会社ミクニ


〒101-0021 東京都千代田区外神田6-13-11 ミクニビル


http://www.mikuni.co.jp/
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