新型フォレスターの初期受注は、月間目標2500台に対して13000台。出足はなかなか好調だ。今回初めて投入されたe-BOXERは、想定30%に対して40%と大きく期待値を超えた。試乗車導入のタイミングからすると、とくにe-BOXERは、事前試乗なしに注文が入っていることにも注目である。
REPORT●森本太郎(MORIMOTO Taro) PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/神村 聖(KAMIMURA Tadashi)
百花繚乱状態のミドルサイズSUVマーケットでは、次から次へと新型モデルが登場している。そんな中、まずはフォレスターの立ち位置を確認するため、フォレスターのライバルにあたる各社を代表するミドルサイズSUVの特徴を見てみよう。元祖シティ派SUVが成長して上質感を高め、オンロード寄りイメージの強いCR-V、内外装のデザインと舗装路での走りにこだわったCX-5、PHEVが最大のウリで独自の路線を行くアウトランダー。乗用車ベースの高級SUVの元祖といえるハリアー、そして、もともとオフ志向を強くアピールしていたエクストレイルは、これらのラインナップの中ではもっともフォレスターに近いキャラクターといえるかもしれない。
大小さまざまなクラスでSUV人気が広がるなかで、どちらかと言うと土臭くない、=シティ派、アーバン、クーペ系、ラグジュアリー系‥‥などと呼ばれるSUVが増えてきた。そんな状況であらためて新型フォレスターと向き合うと、表向きの色気や装飾、流麗なスタイリングよりも、SUVに求められる機能性や実用性に正面から取り組んでいることが分かる。SUVらしいとか、正統派と思わせる所以はまさにそこにある。あらためて見てみると、フォレスターはきわめて真っ当で、芯からSUVらしいSUVだと言うことができる。
主力のパワーユニットは、先代の2.0Lから2.5L へとグレードアップ。184ps/5800rpm、24.4kgm/4400rpmのパワーとトルクをもつ。先代に存在した280psのターボエンジンを今回止めたこともあるためか、この2.5L NAはなかなかにパワフルだ。発進後のひと踏みでの加速が快活で、SI-DRIVEセレクターをSにする必要を感じさせないほどだ、ひとり乗りならIでも十分速さを実感できるし、Sにすればさらに加速が鋭くなるのは言うまでもない。この活発なパワートレーンは、快活なフォレスターのキャラクターにもバッチリ合っており、スポーティな走りも強力にサポートしてくれる。
一方、今回からe BOXERと名付けられたマイルドハイブリッド仕様(アドバンス)にも試乗してみた。軽く踏んでもかなり力強い2.5L NAに比べると、アクセルがやや重い印象。SではIと比べて明確に違うものの、快活というほどではなかった。もともとe BOXERのモーターは大きくなく、13.6ps、6.6kgmというスペック。できるだけモーターを使い、速く、燃費良く走るアウトランダーPHEVやCR-V ハイブリッドなどとはコンセプトが違う。あくまでエンジンをサポートするという役割だ。モード燃費も、2.5Lと比べてもそれほど大きくは変わらない。ただ、e-BOXERの目的は、モーターゆえのレスポンスやコントロール性の良さに着目し、走る楽しさやドライバビリティを向上させるためのものと開発陣も語っている。別の試乗環境の時には、モーターの程よいアシストが運転しやすさや、走りの上質感演出に繋がっていたことも確認できているから、あらためて、別のシチュエーションでも再度確認してみたい。
出来れば、後からでもベースグレードとして2.0L車がラインナップされると有り難い。2.0L以下の自動車税で収まるのは誰にとっても助かるし、フォレスター以外のライバル車はすべて、コンベンショナルな2.0Lエンジン(CR−Vは1.5Lターボ)を用意してラインナップの底辺を支えているからだ。そうなれば、フォレスターを選べる人が今よりさらに増えるだろう。
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