わけあってルノーのエンジンを調べる機会があって、作業をしているうちに何となく興が乗ってきたことから、ならばいっそのこと全部調べてしまえと一覧にしてみた。
ルノーの各車に搭載されているエンジンを調べてみようと、ウェブページやカタログやプレスリリースなどを眺めるのだが、種別と出力を示す記号が並ぶだけで一体それがどのエンジンなのかがわからない。まあそれはルノーに限らず欧州全体がそのような傾向にあるのだが、しかしフランス勢とイタリア勢は特にその傾向が強く、ボアストや圧縮比なんて数字のみならず、何気筒なのか排気量はどれほどなのかといったまことに基本的な情報すら記されていない。仕方なくあちこちの情報を探り断片を寄せ集めて、ようやくそのエンジンの概要を把握する──ということがほとんどだ。
今回の対象にしたのはフランス仕様の各車に搭載されているエンジン。どの車種にいずれのエンジンが積まれているのかを表とした。一部、カジャーのみ?マークが入っているが、これはコンシューマ用のウェブサイトでは●印のものがラインアップとして示されているのに対し、詳細を調べ始めるとそのような情報がまったくなく、果てはルノーのプレスサイトによる諸元一覧では?印のもののみがラインアップとしてあるという状況で、こちらとしてはどうにもならないのでそのまま記載することにした。
ほら言わんこっちゃないという状態にも陥っている。TCe115とTCe150である。同じ出力帯だから同じペットネームを与えられているが、さりげなく新エンジンにスイッチしているのだ。新しい115と150は同じエンジンで実現していて、H5Htと称する。1798ccのM5PTと同時期の新しいシリーズで、ともにライナーレスのミラーボアコーティングとし、カムトレーンをチェーンで駆動する仕様である。
自然給気仕様はSCe70=H4Dの一機のみ。ディーゼルは当然として、あとはすべてターボ過給仕様である。
われわれ日本人にとって馴染みのあるエンジンも含まれていて、たとえばTCe200/205/220のM5Mtとは日産のMR16DDT(ジュークに搭載されている直噴ターボ)、dCi175のM9Rは先代のエクストレイルに搭載されていたディーゼルエンジンである。先述のM5PTは新生アルピーヌとメガーヌRSに搭載されることで大注目のエンジンだが、こちらも日産MRA8DE(シルフィに搭載)を直噴ターボ化し手を加えたもの。
ちょっと国内事情からは外れてしまうが、dCi190のM9Tは日産のピックアップトラック・ナヴァロに搭載されていて、その際にはYS23の呼称を与えられる。さらに同じエンジンはダイムラーにいくとOM699へ。ルノー・日産・三菱自/ダイムラーの巨大な連合で上手にシナジーを図っていることがわかる。
ついでに。EVであるゾーイにはR90/R110/Q90という3種のグレードが用意されているが、モーターはすべて同一機種でA5と称する。なぜ日産リーフのEM57を用いていないのだろうか。リチウムイオンバッテリの電圧と容量も異なり、ゾーイのほうが400V/41kWhと少々高め/大きめ。仲が悪いのだろうか(笑)。