都内で開催されたメルセデス・ベンツ新型Cクラス発表会に登壇するために来日していた、チーフエンジニアのクリスティアン・フリュー氏のインタビューが実現した。早速、2018年9月に発売される新型Cクラスの魅力に迫ってみた。
「史上最もスポーティなCクラス」であるワケ
──“史上最もスポーティなCクラス”というのは、具体的にどこを指しているのでしょうか?
「今回のフェイスリフト前からスポーティでしたが、3つの次元で改良しています。まずクルマの見た目です。パッと見たときにフロントフェイス、ヘッドランプ、リアランプ、ディフューザーなどです。もちろん新しいステアリングも見た目がスポーティです。第2にパワートレインがスポーティです。ほとんどすべてのパワートレインが出力向上しています。C200は135から145kWにC300は180から190kW、C43は270から287kWに、ディーゼルではC220が125から143kWになりました。第3はサスペンションです。スポーツサスはありましたが、ダイナミックボディコントロールが装備されました。これに組み合わせて15mm低くなっています。硬いバネと高いダンピングレートもあります。それに減衰力調整可能なダンパーも装備されています。スポーツステアリングはクイックなギア比をもっている。ブレーキも大きくなっています。前225、後245の前後タイヤも装備しています。これはピュアなスポーツサスではありません。日常ではコンフォートにもなります。サーキットにいくならスポーツプラスを選べます」
ダイナミックボディコントロールとは?
「CASEは戦略で、自動車業界のメガトレンドです」
──CASEはCクラスにも活かされていますか? NTTドコモとのコラボのような活動はドイツにもありますか?
「NTTドコモとのコラボの詳細はわからないのですが、似たようなモビリティサービスとして各国で準備しています。インターネット経由でクルマがつながるMercedes meは日本市場でも展開していますが、基本的には天気やレストラン情報などの情報が取得できるサービスです。一方のCASEは戦略で、これは自動車業界のメガトレンドですので、もちろん積極的に取り組んでいます。自律運転はまだ自律運転というレベルには達していませんが、半自動運転的にはいくつかの装備を備えています。ただしCクラスは運転手が乗っていなくてはいけませんが、「Cクラスの進化はとまらない」と謳っています。ACCはストップアンドゴーまで付いていますし、車線追従のステアリングアシストもありますから、渋滞にはとても有効なシステムです。しかし渋滞では、カメラが車線表示を見られない場合もありますが、レーダーが検知していますけれども、われわれはそれ以上に改善しました。道路標識だけではなく、周囲のクルマの動きも検出し、スォミング(集団走行)するように周囲のクルマが動いているならそれに追従するようにします。さらにアルゴリズムも改良しています。他車がスォミングで同じような動きをすることを考慮しています。道路周辺のインフラとの齟齬がない場合は自分のクルマも他車に追従していくことになっています」
「ダイナミックボディコントロールシステム装着車が良い」
新型Cクラスは、ディーゼルにどう挑むのか?
──欧州を中心に、ディーゼルについてはネガティブな出来事がありますが、新型Cクラスはどう取り組むのでしょうか?
「たしかにドイツでも懐疑的な見方はありますが、排出に関しての規制をクリアできるのだということをユーザーや政府の信頼してもらうことが必要だと思います。ディーゼルはRDEのステージ1はクリアしていますし、RDEステージ2もクリアしていくことになるでしょう。そのように、とやかく言う姿勢は、政治サイドの話です。政治的背景を知らないカスタマーサイドは懐疑的になっています。それでディーゼル車では心配で、購入しない人もいるかもしれません。メルセデス・ベンツのディーゼル比率は依然として高いです。市場でのディーゼル比率は下がっていますが、メルセデスの低下率は市場全体ほどではありません。われわれは、問題の一部ではなくソリューションの一部だと思っています。CO2の排出に関してディーゼルは問題ではなく、むしろ解決するソリューションです。生産に関してはガソリンに切り替えていく準備がありますし、充分な柔軟性もあります」
──ありがとうございました。