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マツダ×ユーグレナ 廃てんぷら油とミドリムシを使った次世代液体燃料100%を2020年に! 


広島で「次世代液体燃料による持続可能な自動車社会実現に向けた取り組み」が始まった。廃てんぷら油と微細藻類を使った次世代液体燃料は、従来の軽油に「混ぜる」のではなく、100%のバイオ燃料として使えるのが、大きな特徴だ。

左がマツダ執行役員でひろ自連エネルギー専門部会長の工藤秀俊氏、右がユーグレナCEOの出雲充氏。ユーグレナはミドリムシの屋外大量培養技術で知られる東大発のベンチャー企業だ。

 タイトルには、「マツダ」と書いたが、正確には、ひろ自連(ひろしま自動車産学官連携推進会議)とユーグレナ社が主役だ。ひろ自連は、広島地域の自動車産業の発展に向けて産学官が協調して「2030年産学官連携ビジョン」の実現に向けて推進することを目的に2015年に設置された組織で、マツダ、広島大学、広島県、広島市、ひろしま産業振興機構、経産省中国経済産業局がメンバーとなっている。


 このひろ自連のエネルギー専門部会は、Tank-to-Wheelではなく、Well-to-WheelでのCO2排出量の削減を目指している。TtWとは、車載のガソリンタンク→車輪でWtWとは、油井から車輪まで、という意味だ。TtWの視点で見ればEVはCO2排出量ゼロとなるが、WtWの視点では、油田からの採掘、輸送、精製、火力発電による発電、送電などそれぞれで発生するCO2を考える必要がある。


 EV(電気)、FCEV(水素)へ次世代自動車のパワートレーンが移行していくといっても、それはまだかなり先のことだ。2030年でも、販売される84%のクルマには内燃機関が積まれるだろうとマツダは予想している。だから、EV・PHEV化(クリーン電力がある地域では効果的)とともに、内燃機関の効率改善に積極的に取り組んでいるわけだ。


 そしてCO2排出量の削減のもうひとつの方策として「次世代液体燃料の普及」を目指している。


 なぜ「液体燃料」なのか? 液体燃料のアドバンテージは、そのエネルギー密度の高さにある。天然ガス(20MPa)はガソリン・軽油の約4分の1、圧縮水素(70MPa)、2030年頃を目標に開発している次世代電池は、約8分の1ほどのエネルギー密度なのだ。現状のリチウムイオン電池に至っては、100分の1ほどに過ぎない。


 ただし、これまで通りの原油以来のガソリン、軽油を使っていたのでは、CO2削減に繋がらない。そこで「次世代液体燃料」となるわけだ。廃天ぷら油を使った再生燃料やサトウキビから作るバイオエタノールなどが第一世代バイオ燃料としたら、ネピアグラスなどの非食用植物を原料とするバイオエタノールが第二世代と言える。では次世代の主役となり得るのはなにか? というときに主役の座に躍り出そうなのが、微細藻類を原料とした液体バイオ燃料だ。ひろ自連は微細藻類由来の液体燃料普及に向けてユーグレナ社とともに、実証事業計画「ひろしま"Your Green Fuel"プロジェクト」を始動する。

石油から次世代燃料への移行のロードマップ。このプロジェクトで作られるバイオディーゼル燃料は、100%(従来のバイオディーゼル燃料はB5=5%)で使えるのがポイント。原油依存ゼロというわけだ。既存のインフラ、でイーゼルエンジンを使えるのは、普及に向けての大きなメリットだ。

CO2排出量の削減には、マルチソリューションが必要だ。マツダ得意の内燃機関の革新(SKYACTIV-X)や電動化技術の追加、EV・PHEVの普及とグリーン発電の技術革新にに加えて、次世代液体燃料の進化と普及が重要だとマツダは(ひろ自連は)考えている。

 ユーグレナ社は、ユーグレナ(和名・ミドリムシ。ムシと言っても虫ではなく藻の一種)を屋外大量培養技術を確立し、ミドリムシを原料とする食料、化粧品、そしてバイオ燃料の研究開発を行っている注目のベンチャー企業だ。ちなみにミドリムシの他にも、ボトリオコッカス(IHI、神戸大)、珪藻(電源開発、東京農工大)、シュードココミクサ(デンソー、中央大)、ナンノクロロプシス(東工大、広島大)など、微細藻類由来のバイオ液体燃料の開発が進められている。微細藻類は、成長する過程で大気中のCO2を吸収して体内に油脂を作る。その油脂を抽出・精製し燃料にして使おうという考えだ。微細藻類由来のバイオ燃料を燃やしても、CO2は出るが、そこで発生するCO2はもともと大気中にあったCO2なので、CO2は増えない=カーボンニュートラルというわけだ。

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