4月22日に開催されたモーターファンフェスタ2018(富士スピードウェイ)では、250cc以下の最新バイクを集めた試乗会が大盛況! その個性派揃いの16台のバイクを、モータージャーナリスト、ケニー佐川さんが一気試乗。
TEXT●佐川健太郎(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
モーターファンフェスタ2018会場で大盛況だったのが、250cc以下の最新バイクを集めた試乗会。先日発売されたばかりのホンダCB125Rを筆頭に人気モデル16台を乗り比べてみる大チャンスだったのですが、「残念ながら会場に遊びに来れなかった!」という方も日本全国には多いことでしょう。そんなみなさんに変わって、佐川健太郎さんのインプレッションをお届け!「CBR250RRはライバルと一線を画す超本格派」、「トリシティ125は独立したフォークが常に路面を捉える特性」といった具合に、個々のキャラターを解説していきます。
ちなみに! 先日の記事「360度カメラでバイク試乗会に潜入!? /モーターファンフェスタ2018」も合わせてご覧いただければ、試乗したような気分をより一層味わえるるかも⁉️
ホンダ・CBR250RR
「ライバルと一線を画す超本格派」
スロットルを開けたときの加速感はとても250クラスとは思えないほどパワフル。ゼロ発進から1万4000rpm近くまで一気に吹け上がるエンジンの精緻な回転フィーリングも含め、全域でスキのない速さを誇る。高剛性ツインスパーフレームに倒立フォーク、アルミ製スイングアームを奢るなど装備も豪華で、ハンドリングもカチッとしていて軽快なのに安定感があり、まるで大型スポーツモデルに乗っている感じ。値段も驚きだが、走りのグレード感はたしかにライバルとは一線を画すレベルにある。
ホンダ・レブル250
「吹け上がりも足着きも良好」
メリハリのある単気筒の鼓動感が楽しくニーゴーでも十分に味がある。それでいてCBR250R直系の吹け上がりの良さ。クルーザー的なライポジもライダー自身が前傾するなど工夫することで驚くほどスポーティに走れるし、とにかく軽くてコンパクトで乗りやすい。前後16インチは小回りが利いて、それでいてフロント130サイズの太めのタイヤでゴロッと曲がっていく感じが気持ちいい。690mmのシート高は足着きも抜群で小柄な女性でも何のストレスもなく乗りこなせるはずだ。
ホンダ・PCX
「車体にエンジンに、着実な進化を感じた」
シルエットはたしかにPCXだが新型になって全体的に質感がアップした。シートに座った瞬間に感じるホールド感の良さが印象的。エンジンはスムーズで新型はさらに静かになり、中速域の加速もさらに伸びるようになった。フレームも強化されて乗り味も格段に剛性感がアップ。元々前後14インチによる安定性に加え、扁平ワイド化によってタイヤの剛性とともにグリップ性能も高められているなど、見た目の質感とともに走りの性能も高められた。ひと口に言ってスクーター界の優等生だ。
ホンダ・CB125R
「250クラスに匹敵する実力と風格」
レトロとモダンを融合した「クラスレス」なスタイルが新しい。ライポジはやや上体が前傾しハンドル幅は広め。シート高も815㎜と高めのグローバルポジションだが、とにかく車体が軽いしスリムなので問題なし。エンジンは低中速からトルクがあって信号ダッシュも速いし、鼓動感とメリハリのある走りが楽しい。ハンドリングは軽快ではあるが、その中にもちゃんと乗り手が求める手応えもある。LEDライトなどティテールも高級感があって、大人が乗ってもサマになるコンパクトファイターだ。
ホンダ・スーパーカブ
「エンジン改良でメカノイズが低減」
自転車感覚の手軽さで乗り降りのしやすさもバツグン、そして大型ツアラーを超える積載性! これぞ世界のカブだと叫びたくなる、まさに実用バイクのキングだ。それでいて、S字ラインを描く洗練されたスタイルやLED化されたヘッドライトがさり気なく新しさを主張するなど新型ではお洒落感もアップ。エンジンも本来の粘りのある低中速トルクを生かしつつよりスムーズで扱いやすくなり、メカノイズも減って静かになった。コーナリングも楽しめるスポーティな乗り味はさすがホンダ!
スズキ・GSX250R
「見た目とは裏腹に紳士的な存在」
GSX-Rシリーズを彷彿させる大柄なフルカウルボディは置いてあるだけで見栄えがする。手強いかと思いきや乗り味はジェントルで、車体とエンジンは基本的にGSR250がベースなので、低中速トルクに厚い穏やかな出力特性と安定志向のハンドリングが特徴になっている。メーターにもフルデジタル液晶パネルを装備するなど、ライダー目線の質感にもこだわっている点もマル。「日常的な扱いやすさを持ったスタイリッシュなスポーツバイク」というコンセプトのとおりだ。
スズキ・Vストローム250
「フラットダートを難なくこなす」
大柄で余裕のある車体と低中速に粘りのある並列2気筒エンジン、スクリーン装備の楽なライポジと優れた積載性で、ゆとりのロングクルーズもこなせる本格的250ccアドベンチャーツアラー。ネイキッドのGSRがベースなので軸足としてはオンロード寄りだが、しなやかな前後サスでフラットダート程度なら楽しく走れてしまう。車体剛性や足周りもしっかり目で、ショートサーキットでもそこそこの走りが楽しめる懐の深さが頼もしい。250らしからぬ豪快な乗り味も魅力だ。
スズキ・ジクサー
「スリムさで利あり!」
日本では珍しい150cc単気筒モデルだが、本格的なスチール製クレードルフレームに太めの正立フォーク、調整式モノショックと前後ディスクに140ワイドリヤタイヤを組み合わせるなど、クラスを超えたグレード感のある車体構成が魅力。サイズ的には125ccクラスと250ccクラスのまさに中間的で、軽くスリムな車体を生かしたヒラヒラ感のあるハンドリングが特徴。エンジンも排気量以上に力強く、ロングストロークならではの豊かな低中速トルクと鼓動感が楽しめる。街乗りに最適かも。
スズキ・GSX-R125
「10,000rpm以上が気持ちいい」
贅肉を削ぎ落したシュッとした細身のスタイルが美しい。スタイリングはシリーズ最上級のGSX-R1000にそっくりで、スズキ・ファクトリーカラーがその気にさせる。最高出力15psはクラス最強レベルで、小さな排気量で効率的にパワーを絞り出すためのショートストローク型高回転エンジンの伸び切り感が気持ちいい。大型ラジエターや6速クロスミッションなどの装備からもスズキの本気度が伝わってくる。サーキットで思い切り走ってみたくなる、GSX-Rの名に恥じないモデルだ。
スズキ・GSX-S125
「GSX-R125とは乗り味がやや違う」
GSX-R125のネイキッド版という位置付けで、基本的にはエンジンと車体は同じはずだが、ハンドリングは微妙に異なっている点が面白い。アップライトなライポジに加え、カウルレスが利点となってより軽快なフットワークが楽しめる。R125譲りのパワーと内マタ気味なほどスリムな車体まわりも含め、混雑した都会での機動力は最強レベルと言っていいだろう。それでいて前後17インチのフルサイズボディはダンパーの効いた足周りとともに本格的なスポーツ走行もこなせる底力もある。
スズキ・アドレス125
「意外と(⁉️)キビキビな走りがお気に入り」
アドレス125は車体が大柄になって安定感は増したが、超コンパクト車体で街中をキビキビと走り回る従来型も個人的には好きだった。新型ではフットスペースが広がりシートも大きくなり、ゆったり座れるなど居住性がアップ。全体的なシルエットも丸みを帯びて前後のレッグシールドやテールカウルも大型化されるなど、全体的に大人なデザインになった感じ。フロント12インチになりコーナリング時の安心感も増している。コレという個性は希薄になった感もあるが汎用性は高まっている。
ヤマハ・R25
「車体設計はR1譲り」
最新式の水冷2気筒エンジンは低中速から高回転域まで全域にわたるハイパフォーマンスが特徴。ショートマフラーによるマス集中化や、トラクションに優れるモノクロス式リヤサスとロングスイングアームを組み合わせるなどR1の技術が惜しみなく注がれている本格派ニーゴースポーツだ。その走りの実力はいまだに一線級で、今回の試乗コースでも走りのキレ味はトップクラスだった。見た目によらず意外にもセパハンは高めで、前傾しすぎない自然なライポジもGOOD。
ヤマハ・MT-25
「スロットルがリニアに反応」
R25で実績のある高性能な車体とエンジンにMTシリーズの躍動感のあるフォルムと快適なライポジを組み合わせたスポーツネイキッド。豊かなトルクと軽快なハンドリングを活かしたキレのいい走りが魅力だ。スロットルレスポンスが素晴らしくパワフルなのに扱いやすいし、目線を向けたほうに曲がってくれる素直なハンドリングも最高。前後サスの豊富なストロークを活かしたヤマハらしいしなやかな乗り味が印象的だ。扱いやすいからこそ速くも走れるという好例。気軽にスポーツマインドを楽しめるモデルだ。
ヤマハ・XMAX
「スポーツ性を秘めた加速力&車体剛性」
現代的に洗練されたスタイル、ビッグスクらしい大柄な車体でTMAXに近い存在感がある。加速の俊敏さはさすが250ccで、剛性感のある本格的なフロントフォークと前後15/14インチタイヤの組み合わせによりモーターサイクル並みのスポーティな走りが楽しめる。ライポジもゆったりしているが、一方でシートが幅広で高さもあるため足着きは良いとは言えないかも。スクリーンの防風性も高く、高速道路を使ったタンデムツーリングも余裕でこなせるはず。幅広く使えるスタイリッシュなスクーターだ。
ヤマハ・トリシティ125
「独立したフォークが常に路面を捉える」
スムーズで力強いエンジンでメリハリよく走るが、やはり最大のメリットは3輪であること。通常のバイクと同じ感覚で車体を傾けてコーナリングしてみると、フロントのどっしりとした接地感の凄さに驚く。左右の独立したフォークの動きによって常にタイヤが路面を捉えているためで、抜群の安定感がある。特に荒れた路面などではその効果は絶大だ。ブレーキも思い切りかけられるなど、2輪が不安な人にはおすすめだ。ただし、攻めていくと車体はやや重くバンク角が少なめなのがやや気になるかも。
ヤマハ・Eビーノ
「ゼロ発進はエンジン車以上の鋭さ」
レトロポップな可愛いデザインが印象的な電動スクーターだ。エンジン版ビーノの車体をそのまま使っているため作りはしっかりしていて安心感がある。走行中のモーター音は拍子抜けするほど静かで、平和なひとときという感じ。エンジン版と比べると非力さは否めないが、一方で出足の良さはさすが電動。エンジン版ビーノよりもだいぶ軽い車体を生かしてゼロ発進からぐっと前に出る。電力は食うが「ブースト」モードなら50キロ近くまで引っ張ることも可能。近場の手軽な足としては最適だ。
ケニー佐川
本名、佐川健太郎。モーターサイクルジャーナリスト、MFJ公認インストラクター、ライディングアカデミー東京校長など多岐に渡って活躍。守備範囲は原付バイクから大排気量車まで広い。