フォルシアの麻ベースの軽量バイオマテリアル “NAFILean” が近年、OEM企業などにより急速に取り入れられている。フォルシアはこの技術をエネルギーや環境にやさしく、農業にも好影響を及ぼす革新的ブレークスルーとして開発を進めている。
プジョーとの最初の提携開始以来、フォルシアのバイオマテリアルは6つのOEMモデルのパーツに使用されている。最近では中国の電気自動車スタートアップByton (バイトン)のSUVにも使用されており、次世代の車両にも十分対応できるポテンシャルを持っている。
NAFILean開発により、主要材料である麻の需要が増していると、フォルシアはパリ国際農業見本市にてコメントしている。
■ NAFILeanの開発
フォルシアのバイオマテリアル開発は10年前、軽量で車のコンポーネントとして使用できる、環境にやさしい「究極のマテリアル」を求める研究として始まった。技術的なパフォーマンス、再利用性、水の消費量などをもとに、20種類の原材料から麻が選ばれた。結果として自然繊維20%を含む、ガラス繊維に代わるマテリアルが完成し、計器パネルやドアパネル、センターコンソールなどのコンポーネントが製作可能になった。
2年間に渡る開発期間と、PSAとのOEM提携に1年かけた後、2013年にプジョー308のドアパネルに初めてNAFILeanが使用された。合計1.2kgのパーツにより、従来比25%の重量削減を達成し、環境への影響も低減した。
バイオマテリアルを自動車に応用する従来の取り組みと異なるのはフォルシアがもたらす付加価値だ。ティア1サプライヤーが関係することで、車両のサブシステムにおけるイノベーションを確実なものにする狙いだ。
■ OEM供給
当初の商業的成功に続き、NAFILeanは新たな自動車コンポーネントのスタンダード的地位を築いている。主なOEM先は:
• PSA (プジョー・シトロエン・DS・オペル ブランド): “プジョー 308” 及び “DS7 クロスバック”
• FCA (アルファロメオブランドを含むフィアット・クライスラー・オートモーティブ): “アルファロメオ ジュリア”
• JLR (ジャガー・ランドローバー): “グランド イヴォーク” 及び “E-Pace”
• RSA (日産・三菱を含むルノーグループ): “メガーヌ”
計算上、軽量バイオマテリアルを使用することで40,000トンの二酸化炭素排出量を削減できるという。
■ 期待される今後
麻のコンパウンドはフォルシアとフランスのブルゴーニュの農業協同組合との合同ベンチャーであるAPM(Automotive Performance Materials)から市場に供給される。この50-50合同ベンチャーはフォルシアに信頼ある供給と、市場における自由度をもたらす。
自動車のパーツだけでなく、建物の断熱材や食物油などにも応用されることが期待されている。また麻は土地の効率も良く、わずか5000ヘクタールの土地だけでヨーロッパ中のOEMを供給できる。
麻の栽培とNAFILeanの製造は未来の発展に適した素材だ。今後3年の間に同社のバイオマテリアルを使用するOEMも3倍の規模になると予想されている。フォルシアは次の世代のNAFILeanの開発を進めるとともに、100%天然繊維素材などの新たなマテリアルの研究も進めている。