東京モーターサイクルショー2018開催初日の3月23日、ヤマハが密かに開発を進めていた電動トライアルバイク「TY-E」がサプライズデビュー! さらには、同機での世界選手権への初参戦が正式発表された。現行のエンジンモデルとほとんど変わらないスリムなその姿に、思わず足を止めて熱心に見入るギャラリーたちで会場はいっぱいになりました。(PHOTO&REPORT:及川ルイ子)
バイクの世界にも急速に押し寄せるEVシフトの波。開発の課題であるコンポーネントの高出力小型軽量化や意のままに扱える運転のしやすさなどを克服すべく、ヤマハが開発したのが、今回の東京モーターサイクルショー、プレスカンファレンスで発表された競技用トライアルモデルである。
目を引くのはやはり、そのスリムでコンパクトな車体。車両重量は70kgと、見た目も数値も250ccのエンジン車とほぼ同一。気になるのは動力性能は……、会場に映し出された「TE-Y」のプロモーションビデオを見てびっくり。ガレ場や頭の高さを超える大きな岩も軽々と走破する映像を目の当たりにすると、否が応でも期待に胸が高鳴り、思わず乗ってみたくなってしまうほど。
その完成度の高さを裏付けるように、ヤマハは2018年のFIMトライアル世界選手権”TRAIAL Eクラス”への参戦を同時に発表した。このクラスは電動トライアルマシンが参加できる唯一の世界選手権。昨年の6月にフランスで初開催され、今年は7月にフランスとベルギーでの全2戦が予定されています。参戦ライダーは、全日本トライアル選手権IAスーパークラスで活躍中のヤマハファクトリーライダー・黒山健一選手。国内最高峰クラスで史上最多11回のチャンピオンを獲得している日本を代表するトップライダーである。
《FIMトライアル世界選手権 TRIAL E クラスについて》
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が主催する電動トライアルマシンのみが参加可能な、唯一の世界選手権です。昨年の6月24-25日フランス Lourdes(ルルド)にて初開催され、昨年度は11名の選手がエントリーし、スペイン出身のMarc COLOMER (マーク コロメ)選手が初優勝しました。今年は、7月14-15日フランス Auron(オロン)、7月21-22日ベルギー Comblain au Pont(コンブレン オー ポン)の全2戦が予定されています。
《黒山健一選手について》
氏名 黒山 健一(くろやまけんいち)
出身地 兵庫県
生年月日 1978年7月24日
2018年参戦 全日本トライアル選手権 IAスーパー、FIM TRIAL-E CUP
2018年参戦チーム YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2017年成績 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング2位
《「TY-E」主要仕様諸元》
全長×全幅×全高:2,003mm×830mm×1,130mm
軸間距離:1,310mm
最低地上高:350mm
車両重量:70kg以下
原動機種類:交流同期電動機
駆動用バッテリー種類:リチウムイオン電池
クラッチ形式:油圧,湿式,多板
フレーム形式:CFRPモノコック