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新型ポロは「絶妙ポロ」現行ゴルフオーナーの視点で新型VWポロを試乗してみる


誠に勝手ながら、6世代目にあたる新型ポロは「絶妙ポロ」と名付けることにした。盛るところは盛り、控え目にするところは控える。そのどちらもが絶妙なのだ。とくに、現行ゴルフオーナーの視点で眺めてみると……。


TEXT &PHOTO◎世良耕太(Kota SERA)

先代、すなわち5代目ポロのオーナーは半数が女性だったという。また、高い比率で5ナンバーサイズであることが好評をもって迎えられていたそう。新型ポロは先代より全長が65mm伸びて4060mmになった。それより気になるのは、全幅が65mm広くなって5ナンバー枠を飛び出し、1750 mmになったことだろう。4代目ゴルフ、いわゆるゴルフIVの全幅が1735mmだったので、幅に関して言えば、3代前のゴルフよりも新しいポロの方が立派なのだ。




そうと知りつつ新しいポロと対面したのだが、大きくなった印象は受けなかった。相変わらずの、手頃なサイズ感である。パーキングエリアに入って駐車枠に止め、店舗側の敷地に立ち、たくさん並んでいるクルマの1台としてポロを観察してみたけれども、相対的には充分に小さい。けれども、存在感はあるし、その存在感は先代より増している。

Polo TSI Trendline 1.0ℓ+7DCT 209万8000円


Polo TSI Comfortline 1.0ℓ+7DCT 229万9000円


Polo TSI Highline 1.0ℓ+7DCT 265万円

ぶどう畑が広がる山梨県のフルーツパーク富士屋ホテル周辺で試乗した。高速道路(中央自動車道)から試乗会場である山上のホテルに戻る際、ナビ任せでルートを設定したところ、民家が立ち並ぶ急斜面を不規則なカーブとクランクの連続で登る「ナビで案内されなければ絶対に通ることのない」道を案内された。クルマ1台通るのがやっとである。不安を覚えたが、Uターンするタイミングを失って深みにはまり、ブラインドコーナーから対向車が出てこないように祈りながらドライブを続けた。




実は、ポロの前の試乗枠でパサートに乗った際も同様の別ルートを経験していた。すれ違いできないことはパサートでもポロでも変わらないのだが、心理的な負担はポロの方が圧倒的に軽かった。見切りの良さは先代ポロの美点のひとつで、女性ドライバーウケにひと役買っていたそうだが、グラマラスになった新型もその美点は受け継いでいる。フロントウインドウ越しに見える景色は、車両感覚がつかみやすいようにできているのだろう。この点、とても絶妙だ。

ベンチレーションの吹き出し口とインフォテイメントシステムのディスプレイ(8インチ)は位置が逆転し、ディスプレイが上になった。パサートもゴルフもまだ下であり、ようやく世の中の流れに追いついた格好だ。最新のパサートもゴルフも、地図の拡大/縮小はタッチスクリーン(9.2インチ)で行なうシステムに進化しているが、ポロの場合は拡大/縮小の操作ダイヤルが残っている。個人的にはポロ式の方が操作しやすいように思う。




現行ゴルフVIIオーナーとしてはスタート/ストップシステムのオン/オフボタンがシフトレバーの陰(左側)に隠れて見えないのがちょっとした不満である。頻繁に操作するボタンなので、見える位置にあってほしい。その点、新型ポロのオン/オフボタンはシフトレバー右側の見える位置にあり、操作する際にストレスを感じることはない。

現行ゴルフオーナーの視点で新型ポロを眺めると、「次はポロでいいんじゃないか」と思わせる要素が多々ある。ひとつは内外装のクオリティだ。先代はいかにもゴルフの弟分という雰囲気が見た目にも残っていたが、新型には一切ない。ヒエラルキーの底辺近くに位置するモデルという感じはなく、単に、コンパクトなVW車というムードを感じる。




身長184cmの筆者が運転席に座ってドライビングポジションをとり、後席に着座したところ、ひざの前にしっかり空間が残った。先代ポロの場合、こうはいかなかった。これなら家族を含めて同乗者に窮屈な思いをさせることはなさそうで、この点も好印象である。ただし、ゴルフにはある後席用のベンチレーション吹き出し口はなく、「ん〜、そうかぁ」と「まぁ、いいか」が同居したような気分を味わった。

パーキングブレーキは、現行ゴルフは最近流行りの電動式だが、新型ポロは手動レバー式を踏襲している。

こちらは本国仕様の図版。

こちらは国内仕様の説明で使われた図版。

4枚のドアにしてもバックドアにしても、さすがにVWらしく、上質な音を立てて閉まる。だが、ゴルフの方が一枚上の高級な音を立てて閉まる。「広くなった」と主張するだけあって、ラゲッジスペースは確かに広く感じる。この点に関し、ゴルフからの乗り換えを逡巡させる理由は見あたらない。

ホイールベースが80mm伸びたことで、後席の居住性は格段によくなった。

ラゲッジルームは、前モデルの280ℓから351ℓへと大幅に拡大した
351ℓのラゲッジ容量は、ゴルフⅣ(330ℓ)より大きい。


エンジンは先代の1.2ℓ・4気筒直噴ターボ(66kW/160Nm)から、1.0ℓ・3気筒直噴ターボ(70kW/175Nm)になった(7速DCTの組み合わせ)。街乗りでの発進や緩加速、高速道路での合流などで急加速する際も、必要十分な力とマナーを感じた。1.2ℓ・4気筒直噴ターボ(77kW/175Nm)を積んだ現行ゴルフから乗り換える視点で観察(体感)しても、否定する要素は何ら見あたらない。




乗り心地や身のこなしも悪くはない。というか、いい。軽快だ。でも、現行ゴルフとの対比で言うと、ゴルフの方が「いいクルマに乗っている」感はある。例えば、緩いアンジュレーションが続く状況での車体の揺れの収め方がうまく、気持ちいいのだ。




と、現行ゴルフオーナーの視点で新型ポロを観察&体感してみたが、考えてみれば、「ん〜、そうかぁ」と感じた点は機能に決定的な不満があるわけではなく、パーキングブレーキひとつ取り上げてみても、贅沢が身に染みついたがゆえの反抗でしかない。




新型ポロは実によくできているのだ。それは充分わかっているのだけれど、「お客さん、ゴルフもいいクルマですよ。どうします?」と言われている気がして、実に悩ましい。きっと、現行ゴルフオーナーが新型ポロに流れないように、要所で少しずつ装備を落としたに違いない。商品開発が絶妙だ(考えすぎか)。

Polo TSI Comfortline


全長×全幅×全高:4060×1750×1450mm ホイールベース:2550mm 車重:1160kg  


乗車定員:5名 最小回転半径:5.1m JC08燃費:19.1km/ℓ


エンジン:直列3気筒DOHCターボ 排気量:10.3 最高出力:70kW(95ps)/5000-5500rpm 最大トルク:175Nm/2000-3500rpm 燃料タンク容量:40ℓ トランスミッション:7速DCT タイヤサイズ:185/65R15

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