アメリカの自動車業界誌『Ward's AutoWorld』が1994年以来選出しているテン・ベスト・エンジンの2018年版が発表された。ノミネートされるのは北米市場における第一四半期までに量産が開始された車両に搭載されたエンジン。24回目となる2018年版の決定にあたっては、32機のエンジンが選出された。
結論から掲載しよう。栄えある10機は以下のとおり。
シボレー・ボルトEVの150kW Electric Propulsion System
クライスラー・パシフィカの3.6L “ペンタスター” DOHC V6/PHEV
フォード・F-150の2.7Lツインターボ DOHC V6
フォード・マスタングGTの5.0L DOHC V8
ホンダ・クラリティFCの130kW Fuel Cell/Electric Propulsion System
ホンダ・シビックタイプRの2.0L VTECターボ 4気筒
インフィニティ・Q50の3.0Lツインターボ V6
ジャガー・XFの2.0Lターボ “インジニウム” 4気筒
キア・スティンガーの3.3Lツインターボ V6
トヨタ・カムリハイブリッドの2.5L “アトキンソン” 4気筒/HEV
大荒れである。ドイツ勢ゼロ、ラグジュアリーカーはジャガーのみ。例年十傑の一員であるBMWやフォルクスワーゲングループが選から漏れるのは初めてのこと。HEVをはじめとする電動パワートレイン関連が4機を占め、ホンダとフォードが2機ずつを獲得した。
10機を眺めてみると、ターボ過給ありきの欧州とはまったく異なり、かといって電動化まっしぐらの日本とも傾向が違うのがわかる。GMのシボレー・ボルト用モータートレイン、フォードの2.7エコブーストと5.0-V8、トヨタ・カムリ用のA25A型などからすると、瞬時の高パワー発揮というのが彼らの好みか。インフィニティのVR30DETTやシビックR用のK20Cなどは、やはりターボラグ解消に意を払っているし、ジャガーのインジニウムペトロールも同じく(変速機側に依るところが大きいと思われるが)瞬時のトルク立ち上がりを目指している。
そうなのだ。高出力を即座に得られるというのは、電動モーターでなければその大半は変速機の都合のほうが印象としては強いはず。このあたりを勘案して、これらの10機が選ばれていることを望みたい。手前味噌だがMFiは「パワートレイン・オブ・ザ・イヤー」と称して、変速機込での動力源の印象を毎年選出している。機会がおありならぜひそちらにもお目通しを願いたい。
それを踏まえて、あらためてこれら10機を考察してみると──
シボレー・ボルトEVの150kW Electric Propulsion System(減速機のみ)
クライスラー・パシフィカの3.6L “ペンタスター” DOHC V6/PHEV(電気式CVT)
フォード・F-150の2.7Lツインターボ DOHC V6(6速AT)
フォード・マスタングGTの5.0L DOHC V8(6速MTあるいは10速AT)
ホンダ・クラリティFCの130kW Fuel Cell/Electric Propulsion System(減速機のみ)
ホンダ・シビックタイプRの2.0L VTECターボ 4気筒(6速MT)
インフィニティ・Q50の3.0Lツインターボ V6(7速AT)
ジャガー・XFの2.0Lターボ “インジニウム” 4気筒(8速AT)
キア・スティンガーの3.3Lツインターボ V6(8速AT)
トヨタ・カムリハイブリッドの2.5L “アトキンソン” 4気筒/HEV(電気式CVT)
われわれもぜひ、これらのパワートレインの仕立てを試してみたいものである。