沖電気工業のOKIグループのOKIアイディエス（OIDS）とクリアチアのザイロン社が協同開発した新システムは、タッチスクリーン操作により、ユーザーが俯瞰する視点を3次元的に360度リアルタイムで任意の点に変更できるもので、あらゆる角度から自車両の周辺監視を可能とするシステムだ。。
沖電気工業のOKIグループの設計受託事業会社である株式会社OKIアイディエスと欧州・北米の自動車のADAS（先進運転支援システム）市場でFPGA（製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路であり、広義にはPLD（プログラマブルロジックデバイス）の一種）ベースの高い開発実績を持つザイロン社（本社：クロアチア共和国ザグレブ市）は、仮想カメラの視点を自在に変更し360度リアルタイムに自車両の周辺監視が可能な「車両周辺モニタリング用フライングカメラシステム」を共同開発した。
共同開発した新システムは、4台以上のカメラと評価用ボードから構成されている。乗用車の発車・駐車時の危険回避、道路への合流支援、バスやトラックといった大型特殊車両の走行中周辺の死角監視など適用範囲は広く、またさまざまな顧客独自の機能を、OIDSが受託開発して柔軟に追加することも可能。OIDSは、新システムを11月から国内ADAS市場向けに提供開始する。
現在、車両で用いられているサラウンドビューシステムと呼ばれる映像システムは、車両の前後左右に取り付けた4台のカメラから入力された車両周辺画像を、自車両の3Dモデルを中心に合成し、あたかも自車両を上方から見下ろしたような仮想的な俯瞰映像をリアルタイムに生成するものだ。
その映像は、あらかじめ決めておいた固定位置のカメラ視点で俯瞰するものとなるため、視点は複数あり選択可能とはいえ、発進時の進行方向などドライバーが必要とする具体的な特定箇所を注視することが困難であるという課題があった。新システムは、タッチスクリーン操作により、ユーザーが俯瞰する視点を3次元的に360度リアルタイムで任意の点に変更できるもので、あらゆる角度から自車両の周辺監視を可能とした。
自動車業界では、ドライバーや歩行者の安全性をさらに高めるため、人や物、障害物等の認識や画像処理に適用するための高画質、高性能なビューイングシステムが求められている。OIDSとザイロン社は、2014年12月に技術提携して、省電力で処理能力の高いFPGAを使った国内ADAS市場向け商品開発を続けてきた。新システムでは、ザイリンクス社の高性能なFPGA、ザイロン社製各種技術、OIDSのFPGA開発ノウハウ・高速高画質画像転送技術・通信処理技術の3社の高い技術の共創により、ユーザーの仮想的俯瞰視点の動的で自由な変更を可能にした。
今後OIDSは、検知・センシング分野において、ザイリンクス社ディープラーニングプラットフォームを活用して、AI（人工知能）を搭載した新システム開発も進めていく。
新システムの概要
・画像入力 カメラ1台当りの有効画像サイズ1280pixel、800line（ハイビジョンテレビ相当）で30fpsの速度（人間の目に見える快適な速度、テレビのフレームレート）で有効画像を全て取込むことが可能。
・画像合成 前後左右などの4個以上の魚眼カメラの画像をそれぞれ歪み補正し、カメラ画像を合成して仮想カメラ視点位置から見た俯瞰画像を生成。
・自車両モデルの描画 自車両モデルの3D描画を行い、仮想カメラ視点位置から見た車両の画像を生成。
・画像出力 HDMIインターフェースで有効画像サイズ1920pixel、1080line（フルハイビジョンテレビ相当）で60fpsの速度（近年のゲーム機程度）で出力。
社名：Xylon d.o.o.
設立：1995年
従業員：35名
CEO：ダボール・コバチェス
所在地：クロアチア共和国ザグレブ市
URL：www.logicbricks.com
事業内容：FPGAデザインサービスとIPコアの開発を専門とする。組み込み向けGUIやビデオ、ネットワーク分野に特化したIPコアをグローバルに提供。
