9月のIAAフランクフルト・モーターショーに続いて、プレスデー2日の午後、東京モーターショーの会場を難波 治さんと一緒に歩いて、各社が出展したコンセプトカーのデザインを見てみた。スバルの前デザイン部長の難波さんは、コンセプトカーをジーッと見つめたあと、ボイスレコーダーに向かってコメントを吹き込む。聞き手は、フランクフルト・モーターショーと同じく、MotorFan編集長のスズキが担当しました。
ーフランクフルト・モーターショーに続いて、東京モーターショーでも、「難波治のデザインウォッチング」をやってみましょう。あ、いまタイトル、考えました。難波さん、市販車のデザインについては、あまりコメントしませんが、コンセプトカーは言いたい放題でいいんですよね? 今回も、ぜひ「辛口」で行きましょう!
難波「とはいっても今回は東京モーターショーですからね。日本メーカーのコンセプトカーについてですから……甘口でいきましょうよ」
ーだめです! では、まず東4ホールから行きましょう。レクサスを眺めて……三菱へいきます。三菱 e-EVOLUTION CONCEPTです。
難波「これはですね。いま三菱自動車が市販しているエクリプスクロス、ああいうものを、後方支援というかバックアップするコンセプトカーだと思っています。三菱自動車さんって、これから乗用車というよりSUV中心でやっていくんだろうと思います。これは、その意思表示をしたんじゃないかと思います。
だから、フロントエンドとかボディサイドとかリヤエンドとか、いま三菱がやろうと思っている造形の特徴はうまく使って、デザインしていると思いますね。
で、うーん……フロント、リヤのクオータービューで見たときのスタンスはとってもいいんですけど、サイドビューで見たときのボリュームバランスがなんていうかな、ややフロント側が勝ってリヤ側が弱い。それはあそこに飾ってある量産車(といってエクリプスクロスを指さす)もまったく同じで、フロント側は、大づかみでゆったりしているのですが、リヤがタイヤとかキャビンとかを横切るキャラクターがあったりして、ちょっと狭苦しい感じがします。そういう意味ではフロントとリヤのバランスがちょっと良くないですね。かなり優れたデザインだとは思うのですが、そういう感じがありますね。前に進む感じが、もうちょっと、出てくるともっと魅力的になる気がします」
「でも、たとえば、これ(といって室内を指さす)、フロントシートが黒でリヤシートが白いでしょ。だからたぶん、4座なんですが、そうはいっても、どっちかというと4人で乗ると言うよりも、ふたり乗り、前の座席を中心に考えてる。だから、デザインも前側重視で作られている感じがします。うーん、シャープでかっこいいんでしょうね。なかなか大変ですよね。“これぞ三菱だ”という記号性をもっていくのは。いまのところはフロントエンドの顔つきとボディサイドの深い彫り込み、このあたりが三菱デザインが印象づけたいところなんでしょうね。……でも、これだけの全幅があったら、ほとんどのクルマはかっこよく見えます」
ーというわけで、今度のお隣の日産自動車のブースへ行きましょう。