三菱電機株式会社は、「自律型走行技術」と「インフラ型走行技術」を組み合わせた自動運転技術を搭載した実証実験車「xAUTO(エックスオート)」を用いて、2016年5月から高速道路で 実証実験を実施している。その実証実験車を「東京モーターショー2017に出展する。
三菱電機は自動運転の実用化に向けて、「大切なのは、どんな時でも人を想うこと」のコンセプトの下、三菱電機の技術力を結集して自動運転技術を開発し、『Diamond Safety』と命名した。三菱電 は、前方および後側方を監視するミリ波レーダ、前方監視カメラなどの周辺センシング技術を高度に組み合わせた「自律型走行技術」を開発してきた。これに加え、準天頂衛星システムか らのセンチメーター級測位補強サービス(以下CLAS=Centimeter Level Augmentation Service)信号と高精度3次元地図を組合せた「インフラ型走行技術」を開発している。これらの「自律型走行技術」と「インフラ型走行技術」の組合せにより、高い安全性と快適性を両立した自動運転が可能となる。
実証実験の概要
1.「自律型走行技術」と「インフラ型走行技術」の組合せによる自動運転
独自の「自律型走行技術」と「インフラ型走行技術」を組み合わせた自動運転技術を実証実 験車「xAUTO」に搭載して、高速道路(山陽自動車道 神戸 JCT~赤穂 IC 、道央自動車道 士別剣淵 IC~深川 ICで実施)で300 時間を超える実証走行を行なった(CLAS 信号は、準天頂衛星システムからの配信前のため、模擬信号を用いて実施 )。この結果、実際のさまざまな道路環境や、濃霧や雪道など視認性が悪い環境下においても、自動運転が実用可能なことを確認した。
2.準天頂衛星システムからの CLAS 信号を用いた実証実験
世界で初めて、準天頂衛星システムから配信されるCLAS信号を用いた自動運転の実証実験を9月19日から高速道路で実施し、これまでの実証走行と同様、実用可能レベルにあることを確認した。また、トンネルなどCLAS 信号が受信困難な状態でも、車両の走行情報や前方監視カメラなどの周辺センシングから、リアルタイムで自車位置を認識する高精度位置把握技術により、「インフラ型走行技術」での自動運転が実用可能であることを確認している。
今後の展開
1.予防安全(自動運転)技術のグローバル対応
準天頂衛星システムがカバーしない地域での測位補強サービスについては、CLAS信号と互換性のあるセンチメーター級高精度測位補強サービスの世界配信網を、三菱電機が出資するドイツSapcorda社を通じて構築を目指していく。これに加えて、高精度3次元地図を、ダイナミックマップ基盤株式会社やオランダHERE社などと連携し、ニーズに応じて組み合わせていく。これにより、「インフラ型走行技術」をグローバルに対応可能なものとしていく。その上で、「自律型走行技術」と「インフラ型走行技術」の組合せによる高い安全性と快適性を両立した自動運転の実現に向けて、日本のみならず今後は欧州・北米でも実証実験を重ねていく。
2.「自律型走行技術」のさらなる向上
「自律型走行技術」では、前方および後側方を監視するミリ波レーダーと前方監視カメラをさらに高度に組み合わせることで、高速道路・自動車専用道路での安全・快適な自動運転だけでなく、一般道の交差点での衝突回避についても実現を目指す。なお、前方監視カメラは、イスラエル Mobileye 社の画像処理チップを搭載し試験評価を進めている。
※「xAUTO」「Diamond Safety」は三菱電機の登録商標。