自転車走行者はドライバーの死角から突然現れ、道路を急に横切っていくことがある。ドライバーは駐車場所を探すためにあちこち目をやって注意が散漫になっていると、急に現れた歩行者や自転車走行者を見逃してしまい、衝突を避けられないという事態になる。しかし、自転車走行者検知機能を搭載したボッシュの新しい緊急ブレーキシステムがあれば、車両が40km/hで走行している状態から自動で完全に停止させ、深刻な事故を防ぐことができる。こうして事故を回避できるため、ドライバーは驚きを感じることはあっても、大事故に至ることはない。
緊急ブレーキシステムを実現するレーダーセンサーやビデオセンサーが、衝突が差し迫っていることを検知すると、ボッシュの「iBooster」がわずか190ミリ秒でフルブレーキングを作動させる。これはまばたきを2回するよりも短い時間だ。
ボッシュ取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼルは、「ドライバー アシスタンス システムは、事故のないドライビングに向けた次なるステップだと言えます。この電子制御式 アシスタンス システムは周囲を絶えず警戒し、緊急時には人間よりも迅速に対応できるため、混雑した市街地など、ドライバーが必要と感じる場面でドライバーをしっかりサポートしてくれます」と説明している。緊急ブレーキシステムは特に交通事故の観点で交通弱者とよばれる歩行者や自転車走行者への事故防止に対し、最も有用なアシスタンスシステムのひとつとされる。
車線の維持、車線変更時の死角にある障害物の警告、駐車支援、前車との最適な距離の維持など、まさにオールマイティに活躍するドライバー アシスタンス システムは、交通量が増えつつある中で、道路の安全を向上させるためのカギを握るシステムである。そしてボッシュは、ドライバー アシスタンス システムを支える技術を磨き続け、センサー類は車両周囲のより正確な画像を提供できるようになり、ブレーキやステアリングなどのアクチュエーターとの相互作用についても、スピードと効率性がともに向上している。
こうしたドライバー アシスタンス システムは、自動運転に向けた準備ステップとなるだけでなく、リラックスできるストレスフリーのドライビングにもすでに寄与しているため、アシスタンス システムが浸透しているのも当然のことだと言える。ボッシュの調査によると、ドイツでは新車全体のほぼ半数(52%)が少なくとも1つ以上のドライバー アシスタンス システムを装備していた。現在は、ボッシュが開発した新機能「降車時後方警告」など、複数のアシスタンス機能を1つのセンサーでカバーする傾向が見られる。