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本田技研工業(ホンダ)は8月31日、背高軽ワゴン「N-BOX」をフルモデルチェンジ。9月1日より販売開始することを発表した。
N-BOXは2011年12月の初代発売以来、2012年、2013年、2015年、2016年の4年にわたり軽乗用車販売台数No.1を記録し、2016年12月には発売60ヵ月で累計販売台数100万台を突破するなど、その販売は依然絶好調と言っても過言ではない状態だが、デビューからすでに約6年が経過。ダイハツ・タントやスズキ・スペーシア、日産デイズルークス/三菱eKスペースといったライバルたちも現行車がモデル末期に差し掛かっている中で、N-BOXは一足先に2代目へと世代交代することで機先を制した形となった。
初代N-BOX、そして背高軽ワゴン市場における最大のボリュームゾーンとなっている子育てママ層をメインターゲットに開発された新型N-BOXの開発コンセプトは、「日本の家族のしあわせのために 次世代ファミリーカーの新基準」。内外装のみならずプラットフォームやパワートレインを含む全ての部位に大きく改良の手が加えられている。
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エクステリアは、初代で好評だったシンプルでグラスエリアの大きな箱形スタイルを堅持しながらランプ類をLED化。標準仕様ではポジションランプをリング状にして親しみやすさを醸し出している。
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エアロ仕様「カスタム」では、フロントグリルのメッキモールが食い込む造形のヘッドランプをロービーム6灯、ハイビーム3灯の9灯式としたほか、内側から外側に向かって光が流れるシーケンシャルウィンカーを軽自動車で初めて採用した。
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その一方、ルーフサイドの溶接にレーザーブレーズ溶接を用いることで樹脂製モールを廃止したほか、薄型フラットブレードワイパーを採用してスッキリとした外観に。さらに、各ドアパネルとテールゲート、ボンネット、フロントフェンダーに亜鉛メッキ鋼板を使用して、サビに対する外装の耐久性を高めている。
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横基調のデザインで外観同様スッキリした印象を与える室内は、メーターパネルをインパネ最上部に配置し、従来メーターがあった場所にはリッド付きボックスを設けることで収納スペースを拡大。標準仕様ではベージュとグレー、「カスタム」ではブラックを基調としたシートには、アレルゲンの不活性化に加えて抗ウイルス加工も施した「アレルクリーンプラスシート」を廉価グレード以外に標準装備している。
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また、Aピラーに1,180MPa級超高張力鋼板を採用するとともに、ガーニッシュの成形・組み付け方法を改良。ドライバーから見た時の太さを初代の82mmから55mmにまで細径化することで、斜め前方の視界を拡大した。
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ボディ骨格ではさらに、前述の1,180MPa超高張力鋼板をAピラーからルーフレール前半、Bピラーのアウターパネルに使用。780MPa級以上の高張力鋼板適用率を初代の約15%から約47%に高めることで、ボディ単体で150kg、車両全体で約80kg軽量化した。
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その一方、高張力鋼板の使用部位拡大に伴う薄板化による剛性低下を補うため、衝突エネルギーを効率良く分散・吸収するトラス構造フロントフレームを採用。ローラー状の電極で連続的に溶接するシーム溶接をドア開口部に、高粘度接着剤をフロアクロスメンバーなどフロアまわりの骨格に用い、ボディ剛性を高めている。
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静粛性向上にも細心の注意が払われており、エンジンのサイドマウントに液封タイプを採用したほか、振動や騒音のより発生源に近い位置へ防音材・遮音材を配置。加速時のエンジン音や定速走行時のロードノイズを大幅に低減した。
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フロントがストラット式、リヤがFF車はトーションビーム式で、4WD車はド・ディオン式のサスペンションは形式こそ初代と変わらないものの、ダンパーを中心に大幅改良。減衰力が早く立ち上がるとともに、大入力時にはより低い減衰力が素早く立ち上がる高性能タイプのダンパーを前後に採用し、フロントはさらにロッド径を18mmから20mmにアップしつつ中空化した。また、FF車のリヤサスペンションにはスタビライザーを標準装備し、ボディ側のコンプライアンスブッシュ径を58mmから65mmに拡大することで、ロール角とともに荒れた路面での振動も抑えている。
ステアリング機構も、下記の通り多岐にわたり改良を施すことで、舵角に対するロールの発生量・タイミングをよりリニアなものとした。
・コラムシャフト大径化
・ピニオン部支持剛性アップ
・ECU制御の進化
・ラック&ピニオンのギヤレシオクイック化
・マウントブッシュのバネレートアップ
・センターからロック位置までのステアリング切れ角を188°から176°へクイック化
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658ccの直列3気筒エンジンは、ボア×ストロークが従来の64.0×68.2mmから60.0×77.6mmへと大幅にロングストローク化され、S07A型からS07B型へと進化。NAエンジンに可変バルブタイミング・リフト機構「VTEC」、ターボエンジンには電動ウェイストゲートが、いずれも軽自動車として初めて採用された。
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全車に搭載されるCVTは、オイルの吐出をプーリー向けの高油圧系とオイル潤滑向けの低油圧系に分離した「2系統吐出オイルポンプシステム」を採用することで仕事量を軽減。効率を高めることで、速度域を問わず加速性能を高めながら、JC08モード燃費23.0~27.0km/Lを達成している。
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燃料タンクを前席の下に配置する「センタータンクレイアウト」を採用した初代の時点でクラストップレベルを誇り、N-BOX最大のセールスポイントといえる室内空間は、全高が10~15mm拡大した以外に外寸の変更がないにもかかわらず、エンジンルームの小型化やテールゲートの薄型化、さらには樹脂センタータンクの薄肉・薄型化、エアコンレイアウトの見直しにより、室内長を20mm、タンデムディスタンスを5mm、荷室床面長を25mm、荷室高を25~55mm拡大。一方でテールゲート開口部の高さを75mm下げ、自転車などの積み下ろしを容易にしている。
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シートアレンジも、先代の時点で後席の前後スライド、ダイブダウン、チップアップが可能となっていたが、助手席に570mmのロングスライド機構を備えた「スーパースライドシート」を最上級の「G・EX」系グレードに標準装備。
・助手席を後ろにずらして、後席のチャイルドシートに座る子どもとの距離を近づける
・助手席を前にずらして、後席側からそのまま運転席へ移動する
・前後席をジグザグに配置して、4人全員で会話を楽しむ
・助手席前の空間を拡大して、女性ドライバーが靴を履き替え、助手席側から車外へ降りる
といった使い方を可能としている(その他グレードの前席はベンチシート)。また、5:5分割・3段リクライニング機構付きリヤシートが全車に標準装備された。
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そして、予防安全技術「ホンダセンシング」を全車に標準装備。フロントガラス上部の単眼カメラ、フロントロアグリル右側のミリ波レーダー、リヤバンパー左右両端のソナーセンサーを備えることで、
・衝突軽減ブレーキ(CMBS)
・誤発進抑制機能
・歩行者事故低減ステアリング
・路外逸脱抑制機能
・ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
・LKAS(車線維持支援システム)
・先行車発進お知らせ機能
・標識認識機能
に加え、新たにオートハイビームと、ホンダ車初の後方誤発進抑制機能を実装した。
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ボディカラーは、標準仕様には新色のモーニングミストブルー・メタリックを含むモノトーン10色と2トーン4種類の計14色、「カスタム」には新色のプレミアムグラマラスブロンズ・パールを含むモノトーン7色と2トーン5種類の計12色が用意され、ボディカラーへのこだわりが強い女性ユーザーに幅広く応える構成となっている。
グレードは、標準仕様が上級タイプから「G・EXターボホンダセンシング」、「G・EXホンダセンシング」、「G・Lターボホンダセンシング」、「G・Lホンダセンシング」、「Gホンダセンシング」の5種類。エアロ仕様の「カスタム」はこれから「Gホンダセンシング」を省いた4種類となる。価格は1,385,640~2,080,080円。