JR東海は、新型新幹線「N700S」確認試験車を浜松工場において報道陣に公開した。
「N700S」は東海道新幹線・山陽新幹線車両で定着した「N700」の名称にN700系シリーズ中、最高の新幹線車両を意味する「Supreme」(スプリーム・最高の)「S」を付けて「N700S」とし、N700系以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線の確認試験車で次期営業車両に反映する最高技術の確認を行い、営業車両投入後は技術開発を推進する試験専用車両として活用する。
「N700S」の新技術では「ATC」「ブレーキシステム」は膨大なフィールドデータの取得・解析により地震ブレーキの更なる短縮を実現した。
「台車振動検知システム」は小牧研究施設での検証により台車振動検知システム機能を向上した。
「新型パンタグラフ」はパンタグラフの追従性を大幅に高めた「たわみ式すり板」を開発し、更なる集電性能の向上とすり板の長寿命化による省メンテナンスを実現した。
パンタグラフ支持部を3本から2本にすることで1台あたりN700Aに比べ約50キロ軽量化した。
駆動モーターの電磁石を4極から6極に増やし、電磁石を小さくすることで従来の出力を確保しながら小型かつN700Aに比べ約70キロ軽量化した。
高速鉄道では初となるリチウムイオン電池を用いたバッテリー自走システムを搭載、地震発生等による長時間停電時においても低速での自力走行の実現を目指す。
「状態監視機能」を強化、地上において車両の状態を更に詳細に分析、故障を防止してより効果的なメンテナンスを実現する。
先頭形状は「デュアル スプリーム ウイング形」、左右両サイドにエッジを立てた形状とした。走行風を整流してトンネル微気圧波・車外騒音・走行抵抗・最後尾動揺を低減させている。前照灯に新幹線で初となるLEDライトを初採用した。
SiC素子駆動システムによる効率の向上や車両全体の軽量化により電力消費量をN700Aに比べ約7%削減する見込みである。
グリーン車は荷棚と一体化した大型側面パネルの採用により一人ひとりの空間を演出、空調吹出口との一体化で広い吹出口を確保し、室内温度を均一化させる。
照明はLED間接照明を採用し、光学的に最適な天井形状により室内照度を均一化させる。停車駅に近づいた際は荷棚の照度を上げ、荷棚にある荷物への注意を促する。
N700系から採用している「シンクロナイズド・コンフォートシート」をさらに進化させ、リクライニング時の座面と背もたれ角度を最適化した
普通車は背もたれと座面を連動して傾けるリクライニング機構を採用。全座席にコンセントを設置、リクライニングレバー形状の最適化による操作性を向上した。
運転台。
「N700S」と「N700A」。
次期営業車両(量産車)は、2020年度を目途に投入する方向で検討を進めている。
(取材協力:JR東海)