電動4WDがもたらす
オールラウンダーな走り
MITSUBISHI/ECLIPSE CROSS
三菱/エクリプスクロス
2WD=GK1W(ガソリン車) 4WD=GK1W(ガソリン車)、GL3W(PHEV車)
フェイスリフトやPHEVの追加など、発売から間もなく3年を迎えるタイミングのマイナーチェンジで、エクリプスクロスはひとつの大きな節目を迎えたようだ。
実車と対面すると、PHEVのシステムを収めるために140ミリも長くなった全長やリフレッシュされたスタイリングにより、車格がひとつ上がったかのような印象を受ける。
インテリアでは、ディスプレイの画面が大きくなり使いやすくなったほか、上級グレードに新設されたコンビネーションシートの着座感も上々。本革シートはライトグレーが選べるようになったのも新しい。
もともとエクリプスクロスの特徴である、スタイリッシュなクーペフォルムながら利便性にも優れる点はPHEVでも変わらず。後席に成人男性が座っても不満を感じさせることはなく、ラゲッジスペースも積載可能なゴルフバッグの数が1個少なくなっているものの、いずれも十分な広さが確保されていることには違いない。これでアウトランダーに設定のある電動テールゲートが選べるようになれば文句なしだ。
ドライブフィールの仕上がりは予想以上だった。PHEVのシステムそのものはアウトランダーと共通で、車両重量も同等であり、ガソリン車に比べると400キロあまり重くなっているが、リニアなレスポンスと豊かなトルクにより軽やかに走れるのはモーター駆動ならではの強みだ。
さらにはエクリプスクロスのスポーティなキャラクターに合わせて、アクセルを強めに踏み込んでもモータードライブ感が味わえるようにと、できるだけシリーズ走行モードを維持するように制御が変更されたことが効いてか、心なし先発のアウトランダーPHEVよりも加速が伸びやかになっている印象を受けた。静粛性も予想以上に高い。
フットワークもほどよくスポーティかつ上質にまとまっている。路面からの衝撃を巧みにいなすしなやかな足まわりにより乗り心地は快適そのもの。直進安定性が高く、ロールも小さく、ハンドル操作に遅れることなく応答する俊敏なハンドリングは、このクルマがSUVであることを忘れさせるかのよう。動きが掴みやすく一体感もあり、まさしく意のままの走りを楽しむことができる。
これには、持ち前の高い車体剛性をはじめ、前後が独立したツインモーターAWDによる理想的な駆動力配分や、バッテリーをフロア下に収めたことによる低重心化と前後重量配分の改善といったパッケージングの強みを活かしつつ、エクリプスクロスのキャラクターに合わせて各部の最適化を図ったことが効いているのはいうまでもない。
また、三菱独自のツインモーター×S-AWCにより路面を問わず安定して走れるのもこのクルマの真骨頂だ。ドライブモードの選択により走り味が大きく変わり、状況に応じて最適な走りを提供してくれる。
むろん、日常使いをほぼEVでこなし、たまに遠出する際にも航続距離を気にせずに走れるPHEVならではの使い方ができるのも大きな魅力だ。
加えて大容量の駆動用バッテリーの電力を最大1500Wまで出力できるので、アウトドアレジャーを楽しむ出先や災害等に見舞われた非常時の際にも車載のコンセントで電化製品を自在に使うことができるのもありがたい。さらにはV2H機器を経由して住宅に電力を供給することだってできる。
そんな多くのメリットを持つPHEVがエクリプスクロスにも追加されるのを待ち望んでいた人は少なくないことだろう。これまでやや販売面では控えめな状況が続いていたが、PHEVの追加を機に一気に挽回するかもしれない……!?
100V AC電源(1500W)の給電能力を持ち、ラゲッジルームに設けられたアース付きコンセントに差し込むだけで電気製品の使用が可能だ。電力量が少なくなってもエンジンで発電できるので、ガソリンを確保しておけば万一の災害時でも電気製品を稼動させることができる。
スエード調素材と合成皮革によるコンビネーション生地のシートを採用。運転席はシートヒーター付きだ。後席も十分なスペースが確保されている。
問:三菱自動車お客様相談センター 0120-324-860
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/
撮影協力:Ocean’s Camp TORAMII 050-3550-1129
https://toramii.jp/camp-toramii/
スタイルワゴン2021年3月号より
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