スズキの新たな試み、最新型ゆえの新機構が邪魔
JB64W[ジムニー] JB74W[ジムニーシエラ]
様々なショップが新型ジムニーのJB64とJB74をチューニングしてきている。
しかし、ひとつ気になる事がある。
発売から、すでに一年半の時間が経過しているのだが、未だ新型ジムニーが競技会などで主役となっている状況がない。
市場に出ている新型ジムニーの絶対数がまだ少ないと言う現実もあるが、JB23発売開始時には、すでにこの時期には主役となるジャンルが存在した。
その理由はなんだろう?
2018年7月に新型ジムニーが発売開始。
原点回帰をテーマにした新型ジムニーは、JB23と比較して大きくボディデザインを変えた。
JB23は、全体的に丸みを帯びたデザイン。
それに対して、新型ジムニーは、直線基調。
旧規格ジムニーのデザインを周到している。
最新車両らしく、室内の居住性は大幅に向上。
セイフティサポートシステムや、横滑り防止装置や誤発進防止装置などを装備。
ブレーキLSDというシステム上のLSDを装備。
サスペンションレイアウトは、JB23と同一の3リンクリジット。
エンジンは、K6Aターボから、R06ターボに変更。
ラダーフレームの基本構成は同一だが、メンバーが追加、更に補強が加わり剛性が大幅にアップ。
ここまで書くと、良いことだらけ。
実際、デザインが受け入れられ、販売最初から爆発的な人気で、1年半たった今でも入手が困難。
JB64で1年から1年半の納期、JB74に至っては2年以上と言われている。
しかし、このボディデザインのせいで、JB23とは車体のジオメトリーが大幅に変わってしまっている。
室内空間を優先した車体設計のせいで、ルーフ面積が大きい。
その為、重心位置が高い。
そして、エンジンが変更されたことで前軸、後軸の重量配分が大幅に変わっている。
フロント54:リヤ46という重量配分。
これは、フロントエンジンミッドシップと言われる重量配分となる。
パッセンジャーで言うFC3SやFD3Sに近い。
その為、サスペンションのレイアウトこそJB23と同一だが、基本的に全く異なる。
重心位置の関係で、ダンパーに求める素養もかなり違う。
JB23は、コンプレッション優先でセッティングが可能だった。
しかし、新型ジムニーは、重心位置が高い為、ロール以外に強いヨーが発生。
その為、コンプレッションだけで車体のふらつきが止められない。リバウンドのセッティングが重要となる。
そして、様々な電子機器を装備したことで、それら全てが関連性を持ち、容易に制御を解除できなくなっている。
そのせいで、ECUの解析が上手くいかず、スポーツ走行時にトラクションコントロールが働き、エンジンに抑制制御が入ってしまう。
新型であるが故、最新装備を得た代わりに、それが足枷となっている。
ノーマルでは優れた車両でも、この内容はかなり困る。
筆者の希望的観測。今後の要望と予測だ
1年半たった現在、前記の問題に様々なショップがアプローチ。
その中でも、ハイブリッジファーストの大嶋代表は、ジムニースーパートライアルチャンピオンシップ、西日本エキサイティングスピードトライアルなどにJB64でエントリー。
熟成の進んだJB23をライバルとした競技で、結果を残している。
今、最も新型ジムニーのチューニングが進んでいて、正解に近いショップと言えるだろう。
ハイブリッジファースト大嶋氏のチューニングを参考に、現在の新型ジムニーのチューニングと今後のチューニングについて考えてみた。
現実問題として、本来チューニングのアプローチというのは千差万別。
求める性能に対して作業は異なる。
しかし、筆者が知る限り、ストリートにおいての乗り心地、スポーツ走行においてのコントロール性、オフロードにおいての追従性、トラクション性能、全てにおいて、ハイブリッジファーストのチューニングにアドバンテージがある。
それらを踏まえた上で、ここからの内容は筆者の主観的な視点と、要望として見て頂けるとありがたい。
Naughtiest Guys 岡田壮司選手(岩手県)
ポテンシャルは感じる。もっとイケるはず
ジムニースーパートライアルチャンピオンシップに参戦している岡田選手。74シエラには足まわりを中心に多くのハイブリッジファーストのパーツが装備されている。
ハイブリッジファーストJSTCプロジェクト 大嶋和也選手(京都府)
入賞経験あり。でもまだ発展途上
ハイブリッジファースト代表の大嶋社長。現役のJSTC’WESTのドライバーで、マシンビルダーでもある。
様々なチューニングパーツを、自らがステアリングを握り製作。ストリートを大切にする姿勢にファンが多い。
ハイパーレブ Vol.241 スズキ ・ ジムニー &ジムニーシエラ No.6(2019/12/26)より
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