気鋭ジャーナリストが“プロ視点”でフィールドテスト!
マツダ・オフロード試乗会
マツダSUV に都会的なイメージを持つオーナーは多いはずだが、オフロードカーとしての機動力にも目を見張るものがあることを実感させられる、最新4WD車を比較試乗する機会を得た。場所は富士の麓の荒涼とした大地。乗って分かったその実力を特別編としてリポートする!
機能があるとないでの違いは歴然
悪路においてもマツダは人馬一体
マツダのSUVは都会的で泥が似合わない。オフロード走行なんてとんでもない。
多くの人はそう思っているかもしれないし、何を隠そうボク自身もそう思っていた。
そもそも、そんなイメージを作り上げてきたのは当事者のマツダである。センスの良いカタログやCMを展開し、そこでは都会的な雰囲気ばかりを強調。オフロードなんて走るな、と言わんばかりの印象だった。
実際のところSUVとはいえ悪路(雪道は除く)を走る人なんてほとんどいないのだからそれで当然なのだが、マツダはちょっと考えを改めたようだ。
そこで開催されたのが、マツダとしては珍しい試みとなるSUVのオフロード走行会。
とはいえ、実のところマツダのSUVのオフロード性能はライバルに加えて劣っていたわけではない。
たとえばオフロード走破性を大きく左右する最低地上高は、CX-5で210㎜とライバルより多く確保されている。
オフローダーのキングともいわれるランドクルーザーで225㎜、あのジムニーでも205㎜といえば、その数値がどれだけのものか理解できる。そのうえ4WD車の最新モデルにはCX-30から採用された「オフロード・トラクション・アシスト」が組み込まれ、タイヤのグリップを失われやすい路面でもさらに走破性が高まったのだ。
オフロードスイッチとは電制御をもちいて極低速時にタイヤの空転を防ぐシステムである。
どれかのタイヤが完全に空転しても、力が逃げずしっかり前へ進めるのだ。肝となる4WDシステムは前輪駆動を基本として必要に応じて電子制御式多板クラッチを締結して後輪へ力を伝えるトルクオンデマンド式だが、マツダは多くのセンサーを用いて前輪が滑り始める時の反応遅れなく後輪へもトルクを送るのが美点。これは幾度の雪道試乗で体感してきた。
それにしても驚いたのは、あれほど都会っ子で軟弱に思えたCX-5やCX-30が生き生きとオフロードコースを走ることだ。
タイヤが完全に浮いて車体がコブと接触しそうなモーグル路面でも「オフロード・トラクション・アシスト」の助けを借りてしっかりと前へ進むし、山を切り開いて作られた、人が歩くのにも苦労するようなコースを涼しい顔をして上ったり下ったりできたのは予想外だった。
もちろん、タイヤは悪路を前提としていない標準装着タイヤ。やればできる子だったのだ。
また、新たにCX-5の純正オプションとしてオフローダーテイストを強調したアクセサリーパーツ「タフスポーツスタイル」も展開している。
前後のアンダーガーニッシュやルーフレールによってタフギア感を演出するもので「都会っ子だと思っていたら実はアスリートだったのね」的なドレスアップを実現できるのだ。
ちなみに用意された3車種のうち、CX-30ではオンロードも試乗した。
その正確なハンドリングと滑らかな走りは、爽快そのもの。そんなスポーティな運転感覚を持ちつつ、オフロードでもしっかり走る姿が印象的だった。
【マツダSUVを支える話題機能】
オフロード・トラクション・アシストとは?
マツダSUVを支える最新の走破性機能である「オフロード・トラクション・アシスト」とは、一見分かりにくいように思えるが内容は至ってシンプル。悪路など、路面状況により4輪のどれかが空転した場合、AWDとその駆動力をコントロールするシステムが協調して空転そのものを抑えつつ、路面に接地しているタイヤ(駆動力)がしっかりと効くようにすることで悪路からの脱出を図るというもの。スイッチひとつで任意にON/OFFの切り替えができる。今回試乗したCX-5、CX-30、CX-8の4WDグレードの全車に標準装備されている。
試乗4WD車は、売れ筋のこの3台!!
ミドルクラス2シーターモデル CX-5
唯一の2世代目となる5人乗りミドルSUV。エンジンは2.5L自然吸気とターボ、2.2Lディーゼルターボ、2.0L自然吸気の4種類あり。
次世代エンジンを持つ低車高モデル CX-30
CX-3とCX-5の中間に位置するコンパクトSUV。新世代エンジンのスカイアクティブXなど、後発ならではの最新技術を多数搭載。
ラグジュアリー3シーターモデル CX-8
マツダSUVの最上位となる3列シート車。6&7人乗りがあり、随一の積載性を誇る。2.5L自然吸気とターボ、2.2Lディーゼルターボがある。
スタイルワゴン2020年3月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ]