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出版社での下積み時代。絶望的な社内環境を経て今、若い世代の人に伝えたいこと


過日。取材に赴くため、ここ10年ほどはほとんど使っていない首都高の某路線を愛機スバルXVにて走った。そして約10年ぶりに下りた某ランプから2分ほど走ると、懐かしい風景に出くわした。


わたしが13年前まで勤務していた、今ではつぶれてしまった五流出版社の跡地である。


わたしは五流出版社の社員だった



わたくしはホラッチョことショーンK氏のような経歴詐称はいっさい行っていないが、それでも、自分の都合が良くなるよう経歴の「編集」は若干行っている。


こういったサイトなどに掲載されるわたくしの経歴は「外資系消費財メーカー本社勤務→IMPORTカーセンサー編集デスクなど→フリーランスの編集者兼ライターとして活動中」というようなことになっている場合が多い。そこに嘘はひとつもない。


だがよくよく見てみれば、「IMPORTカーセンサー編集デスクなど」の「など」が大変に微妙だ。


この「など」の期間中わたしが何をやっていたかと言えば、世間的な聴こえがよろしい「リクルート社での編集デスク業務(ただしわたしは同社の従業員だったわけではない)」の前に、都内某所にあった五流出版社にて社員編集者をしていたのだ。


誤字脱字と素人写真だらけの雑誌



本当にひどい出版社だった。いや、あれを「出版社」と呼んではいけないのではないかと、現在のわたくしは思う。


センスも正確性も何もない駄文的本文と、経費節約のため編集部員が自分で撮ったド素人写真を、これまた予算節約のため編集部員自らが素人レイアウトをしてページを作っていた。校閲者に文字校正を依頼している編集部など皆無だったため、どこもかしこも誤字脱字だらけだった。


そんな会社に、わたくしは9年間在籍した。


なぜ9年間もいたのか。「嫌なら辞めりゃいいだけじゃん」とおっしゃる方も多いだろう。


そのとおりではある。だが28歳というかなり微妙な年齢の「編集未経験の男」を採用してくれたのは、残念ながらその五流出版社だけだったのだ。


社内環境は最低最悪。だが勝手に「自主基準」を設けた



入社5秒後から社内でいきなりさまざまなダメっぷりを目にしたわたしは思わず失神しそうになったが、それでも肚を決めた。


「とにかく、ここで経験を積むしかない」と。


正確なところは実際にヒアリングしないとわからないが、わたしの目には、周囲の社員らは境遇に絶望し、あきらめ、そして虚無的になっているように見えた。


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