ドイツの秋はどこへやら。連日の気温は10度前後で、すっかり冬という趣になってしまったベルリンですが、今日もあらゆるクルマたちが元気に働いています。ドイツでは50ccの小さなエンジンを積んだ3輪車から超大型のトレーラーまで、さまざまな大きさの輸送車を見かけますが、一番身近な存在はルノー・カングーのようなライトバンやフルゴネットです。今回ご紹介するのは、日本へは輸入されてはいないもののヨーロッパではおなじみの存在、シトロエン・ベルランゴです。
初のルドスパス
ヨーロッパではかなり古くから、乗用車のキャビンに不釣り合いなほど大きな荷室を背負ったライトバン、いわゆる「フルゴネット」タイプのライトバンが存在していました。フランス以外の国にも同等のクルマは存在していましたが、日本へはフランス車であるシトロエンAZUやC15、ルノー・4Fやエクスプレスが紹介される機会が多く、かつ単に「バン」と呼ぶよりもイメージがしやすいため、日本ではフランス語である「フルゴネット」の呼び名が広まったと言われています。
今回ご紹介するシトロエン・ベルランゴは、2002年以降に販売されていた初代モデルの後期型です。初代モデルの登場は1996年で、最大のライバルであるルノー・カングーよりも1年早く登場しています。シトロエン・ベアリンゴの革新的な点は、専用ボディを与えてキャビンと荷室の継ぎ目を滑らかに繋ぎ、乗用キャビンと荷室をシームレスに繋げたことにありました。また、スライド式のリアドアや、商用バンだけでなく乗用モデルもラインナップしたことも、それまでにはあまり見られない特徴でした。シトロエンの公式ホームページでも「初の統合積載型ミニバン」「初のルドスパス」(造語で、遊びの空間という意味)と紹介されています。
ヨーロッパを席巻したルドスパス
シトロエン・ベルランゴ、ルノー・カングーの登場以降、ヨーロッパでは同様のライトバンが市場を席巻します。ベルランゴの兄弟車・プジョー・パルトネやビッパー、同じくシトロエン・ネモ、フォルクスワーゲン・キャディ、フィアット・フィオリーノやドブロ、フォード・トランジット・コネクトなど、現在に至るまで多くの車種が発表、各地で活躍するようになりました。2018年の3月には、フルモデルチェンジを果たした3代目シトロエン・ベルランゴが発表されています。