2000年代中盤あたりから10年あまりで急激にそのブランド力を高めてきたアウディ。今やBMWとメルセデスベンツと互角もしくはそれ以上の人気を誇るほどになた。知的かつエレガントな雰囲気を醸し出すシンプルなデザインで、一時期もっとも美しいカーデザインではないか、と筆者に思わせたアウディであった。それが最近では新型を見かけるたび「?」が頭に浮かんでしまう自動車メーカーになってしまった。
アウディ・デザインの原点と進化
4社が合併して結成されたアウトウニオンとNSUが併合されて生み出されたアウディだが、そのエクステリアデザイン・フィロソフィーの原点は併合直前に発売されたNSUを冠した最後のモデル、Ro80にあった。
水平基調なキャラクターラインを描きながら適度にカーブした角や面に、ロングホイールベースの伸びやかなシルエットが優雅なそのモデルは、シンプルかつバランスのとれたディテールでタイムレスなデザインをまとったクルマであった。
1980年代に四輪駆動システムのクワトロを乗用車用として開発してラリー参戦したりしていたアウディ。
1990年代には現在のモデルにも引き続かれている「A」から始まるネーミングでラインナップを整理、90年代後半にはラウンドしたモチーフを多用したTTやオールアルミボディを採用したA2(日本未発売)など個性的なモデルもラインナップしていたが、プレミアムブランドとしては他の欧州ライバルたちに比べてそこまで大きな存在ではなかった。