編集部から「中込氏の書きたいクルマ好きに向けた本とは」というテーマをもらったのですが、重大なことを失念していました。小生、本を執筆したことなどないわけで、はて、どんな本を書きたいか、なんて思いを巡らせては見たところで、そもそも本を書くということとは何ぞや。そういったことがまったく欠落していることを少ししてから思い出して、なんともまぁお間抜けな話、と自分で突っ込んでしまいました。
まあ、そうは言っても何か読者に対して伝えたい事、言いたい事。ものを書くというのはこういう部分とイコールだと思っています。最近ではメディアの末席でクルマのこととか、クルマで出かけた時のことなどを書いている立場。そんなことが実際できたら素敵だなぁとは思っています。
どんな本が書いてみたいのか
で、本題のどんなことを書いてみたいか、ですが。どんなものを書きましょうか。クルマに乗っている方、あるいは興味あるけれどあんまりクルマに乗らないなあという方、どんなものを知りたいと思っているのでしょうか。ものを書く立場としてはそういう声に応えたい!とつい思ってしまいます。けれども、バイヤーズガイド的な話は書かれている方多いですしね。はて、どうしたものでしょうか。
クルマって一言でいうとなんですか?と時々聞かれます。これは実のところ非常に悩ましい質問で困ってしまいます。一言で言えたなら、もう書くことなくて、これ関連での執筆など等の昔にできなくなっていて、とうの昔にネタが尽きているに違いないからです。そして向き合えば向き合うほど、色々なことが見えてくるものです。きわめてメカニカルな、テクノロジーの塊、そんな工業製品でありながら、乗る人、旅をする人、もっというと自動車の恩恵にあずかっているすべての人と心でつながっているもの、ほかにはないですよね。こういうことは大変重要な要素ではないでしょうか。
クルマはコミュニケーションの潤滑油
中でも最近、とくに強く感じているのは、クルマは共感をつなぐということです。クルマがあれば、もっと体験することができます。実際に出会ってその感動を共有することもできます。気持ちを行動に移し、思いを届けた人から感謝されることもあるでしょう。今風に言えばSNSの先にあるもの、99パーセント完結できるネット上で解決できないものを解決してくれるものなのではないかと思うのです。