これまでさまざまなオーナーインタビューを行ってきましたが、今回のクルマがもっとも古い個体となります。そのクルマとは、1923年式のフォード モデルT。取材時(2017年)ですでに94年前に製造されたクルマが、いまだに現役として21世紀の日本の路上を走っていることに驚かされます。果たして、いま新車で売られているクルマが100年後の未来に残っているかどうか…。それを考えると奇跡の1台といえるかもしれません。
そんな、自動車史においても貴重な個体を所有する三橋 了太(みつはし・りょうた)さんに、オーナーだからこそ語れるエピソードを伺ってみました。
── オーナー紹介&どんな仕事をされているのですか?
外資系企業に勤務する傍ら、休日は「高田馬場アトムズ・アイスホッケークラブ(1975年9月設立)」という、ジュニアアイスホッケークラブの監督をしています。
私は札幌市の生まれなのですが、3才でアイスホッケーをはじめて、アンダー18で日本代表に選ばれるほどのめり込みました。現在は、私のあとを継いで2人の息子がアイスホッケーに夢中になっています。私はチームの監督という形でサポートをしています。
── 現在の愛車を手に入れるきっかけを教えてください
私の父は、18才から定年退職するまで42年間、ヤナセ一筋という人でした。セールスやメカニック、中古車販売も担当していて、それこそ、メルセデス・ベンツやアウディ、シボレーやポンティアックなど、さまざまなクルマに乗って家に帰ってきたんです。今日は何のクルマで乗って帰ってくるか、ワクワクしたことを憶えています。また、父の愛車だったフォルクスワーゲン ビートルは、私が1才の時に新車で購入し、23才になるまで所有していたんです。まさか自分が免許とってVWを運転できるとは夢にも思わなかったです。当時は嬉しくて友達を誘い出し、よくドライブに行っていました。
父は、休日になるとビートルのエンジン調整をしていましたから、程度抜群でしたね。