首都圏の高速バスの中で、最も運行本数が多いのはどこの区間を走る路線か知っていますか?
それは、茨城県の鹿島神宮と東京駅の間を結ぶ「かしま号」です。なんと、1日に約88往復も運行しているので、毎日ひっきりなしにバスが走っています。
「かしま号」ってどんな高速バス?
かしま号は京成バス・JRバス関東・関東鉄道の3社が共同運行しています。
発着地は以下の通り。茨城県の鹿嶋市を中心に、潮来市と神栖市の各停留所にも停車します。
※運行便によって発着地は変わります。
▼発着地
A)カシマサッカースタジアム
B)鹿島神宮駅
C)鹿島神宮
D)鹿嶋市役所
E)宇宙通信センター
F)アントラーズクラブハウス
G)鹿島製鉄所
H)鹿島セントラルホテル
I)水郷潮来
J)東京駅
どうしてこんなに運行本数が増えたの?
それにしても、なぜこの路線は、こんなにも運行本数が多いのでしょう。
気になったので運行会社の1つ、京成バスに話を聞いてみました。
かしま号は、1989年4月に運行を開始。当初は、1日4往復していたJR特急列車「あやめ」(2015年に廃止)の隙間時間帯を中心に6往復運行していました。
鹿島臨海工業地域および鹿島地区から都心へ通勤通学している人や、週末は家族連れ、また、工業地域への出張客などに利用されました。鉄道運賃よりも安く、所要時間は2時間程度というのもあって、利用者は増え続けたそうです。
また、列車では鹿島神宮のみの停車となりますが、それに比べかしま号は、鹿島製鉄所、鹿島セントラルホテルなどをはじめ、より目的地に近いところに停車するのも重宝された理由でしょう。臨時便を出すなどの対応をしていたものの、それだけでは輸送力が間に合わないほど利用者は増え、徐々に運行本数が増えていきました。
年間の利用者数は?
京成バスによると、平成29年度実績では、かしま号の利用者は、年間150万人以上。
平日の通勤通学の足、土日祝日は家族連れの都心へのアクセスとして、その他には鹿島サッカースタジアムで試合が開催されるときに行楽路線としての役割を担ってきました。GW・お盆・年末年始などの長期休暇には、帰省のための足にもなっているそうです。
上記のような季節波動のある需要に対しては、時刻表の本数以上にバスを走らせ、なるべく利用者を待たせないように配慮しているとのこと。
7月に増便した理由は?
そんなかしま号ですが、2018年7月には、利用者の利便性向上を目的にダイヤを改正。輸送時間の拡大と混雑傾向にある時間帯を改善するために、始発バスをより早い時刻に、終車バスをより遅い時間に変更し、6往復が増便されました。
現在運行している時間帯は、下り線(鹿島神宮→東京駅)が4:00~22:00。上り線(東京駅→鹿島神宮)は6:00~23:00です。下り線のピークの時間帯は5:00~9:00、上り線のピークは17:00~22:00です。
多い時で1時間に平均6本ほど運行しているので、10分に1本のペースでバスにやってきます!
待ち時間が少ない便利な路線と言えますね。
電車と高速バス「かしま号」を比較すると?
かしま号で鹿島神宮~東京駅間を移動する場合の所要時間・運賃を電車で行く場合と比較してみます!
電車は、平日の通勤時間帯で利便性の高い「鹿島神宮→香取→成田→東京」の経路です。
バス | 電車 | |
---|---|---|
所要時間 | 約2時間 | 約2時間25分 (乗車時間は2時間2分) |
運賃 | 1,830円 | 1,940円 |
乗換回数 | なし | 2回 |
かしま号のほうが、所要時間が短く、運賃も110円安いですね。さらに乗り換えなしで目的地まで直行できることを考えると、高速バスを利用する人が多いのも納得です。
まとめ
長距離バスであるにも関わらず、ピーク時は10分に1本とハイペースで運行しているかしま号。
運行当初から、需要があり利用者が一定数いた上に、その後も、利用者の数は右肩が上がり。乗客の増加に伴い、利便性が向上→さらに乗客が増える→利便性の向上→さらに乗客が増える……ということを繰り返し、首都圏でもトップの運行本数を誇るまでになりました。
これからも多くの人々に重宝されるバスとして走り続けるでしょう。
(バスとりっぷ編集部)