ざっくり、こんな乗車記
- 運行区間は東京~大阪間
- 消灯後もスマホが使えちゃう!?
- トイレやシートキャノピーなど嬉しい設備・アメニティがたくさん
VIPライナー102便は東京~京都・大阪を結ぶ夜行バス
今回乗車してきたのは、平成エンタープライズの「VIPライナー102便」。関東(王子・バスターミナル東京八重洲・横浜駅)~関西(京都VIPラウンジ・大阪梅田・なんば)を結ぶ、3列独立シート・トイレ付きの夜行バスです。
VIPライナーと言えば、夜行バスに便利な待合室「VIPラウンジ」が無料で使えることでもお馴染みですよね。バス出発前の時間調整や到着後の身支度までぜーんぶ請け負ってくれる丁寧なサービスが、VIPライナーの大きな魅力です。
特に、利用者の多い東京~京都・大阪間を走るVIPライナー102便は、3列独立シートやトイレなど快適な車内設備が揃う車両です。なのですが……今回、車内サービスがさらにグレードアップしたとのこと!
そのサービスを調べに、東京~なんば間を乗車してきましたよ。
VIPライナー102便の車内の様子
まずは車内の様子からご紹介。VIPライナー102便の座席は、横3列(A~C)×縦10列。C列の2席分がトイレスペースとなり、座席は全部で28席です。なお、座席は予約時に指定OK。
リクライニングの角度は130度のゆったり仕様! シートの横幅は46cm、前後のシート間隔は約94cmあるので、成人男性もゆとりをもって座れます。フットレスト・レッグレストもあり、しっかり体を支えてくれますよ。
そして、気になるのが頭の上の青いシート部分。これが新サービスに関わってくる、秘密兵器なのです!
これからのバスの新常識?!「スマホし放題バス」
これまで夜行バス内でスマホを利用する場合は、「車内消灯後は、画面の光が眠っているお客様のご迷惑となるため、携帯電話・スマートフォンの利用はお控えください」というのが一般的なマナーでした。しかし、この常識がくつがえる!
VIPライナー102便は、「スマホし放題バス」。夜通し携帯・スマホを利用してOKなのです!
それを可能にするのが、シートキャノピー。シートキャノピーとは屋根のように頭や顔を覆ってくれるブルーのシェードのこと。眠っている間の寝顔隠しになってくれる上に、消灯後の車内でのスマホの光漏れもカバーしてくれるのです。(ただし音はNGなので、サイレントモードかイヤホン使用を)
また、座席と座席の間はさらにプライベートカーテンでも仕切られます。つまり、シートキャノピーとプライベートカーテンの二重の仕切りとなるのです。これは安心!
そして電源も完備。消灯後もずっと、スマホをいじっても大丈夫なのです。
車内装備
座席周りには、くつろぐための設備も充実。各座席には、腰ピロー・低反発ミニ枕・ブランケットと3つもの快適アイテムがスタンバイしています。ブランケットサイズは、シングルベッドサイズほどの大判です。
シート背もたれにはヘッドレストも設置。前座席の背面下にはドリンクホルダーがついています。前座席がリクライニングで倒れてもドリンクが傾かないように、肘掛けの後ろ側辺りにありますよ。
トイレは車内中央、進行方向へ向かって右手側。階段で下りていく形で、使用時には車内前方に小さくランプが点るため、走行中の車内でもいちいち階段を下りて使用中かを確かめる必要がありません。
また夜行バスのトイレで気になるのはニオイや音問題ですが、VIPライナー102便は大丈夫! トイレへ下りる階段が分厚いカーテンで仕切られているため、ニオイや音が外に漏れません。さらに車内通路から、よろけてうっかり階段に落ちてしまうなどの心配もなし!
そして座席の前ポケットには、VIPライナーならではのサービスが。VIPライナーオリジナルマンガ『ネコ社長がゆく~』の単行本がひとり1冊ずつ置いてあり、自由に手に取って読めるのです。
『ネコ社長がゆく~』は、ネコ社長がVIPライナーに乗車しては、気になることを次々と解決し車内を快適にしていくほのぼのとした物語。これを読めばVIPライナーがもっと楽しめるかも!
23:25 バスターミナル東京八重洲から乗車!
出発場所は、バスターミナル東京八重洲。出発時刻は23:25です。
バスターミナル東京八重洲は、2022年9月に第1期エリアがオープンした新しいバスターミナル。11~16番までの6つのバースから、1日に約600便が発着しています。第2期エリアは2025年・第3期エリアは2028年にそれぞれオープン予定です(2023年9月取材当時)。
このバスターミナル東京八重洲、私は利用するのは今回が初めて。東京駅からの道々には案内がたくさん出ていて、初めてでも迷わずスムーズにたどり着けましたよ!
バスターミナル東京八重洲の詳細はコチラ
取材時は金曜の夜だったこともあって、バスターミナル東京八重洲はなかなかの混み加減でした。しかしさすが毎日約600便が発着するバスターミナル、整列や誘導の手順がなんともスムーズ! 混んでいてもストレスなく歩けました。
さて、電光掲示板で乗車バスの到着バースを確認。私の乗車は12バースだったので、バース前に移動します。総合掲示板で確認できるほか、バース前にも個別の電光掲示板が出ているので、間違えにくく安心です。
バスが到着! スタッフさんの誘導に従って、順序よく乗り込みます。予約時に指定した座席ナンバーは乗車時にもう一度確認してもらえるので、うろ覚えでもOK。
前述の通り、乗車日は金曜の夜。そのためか、座席はほぼ満席でした。
乗車後は一斉リクライニング
バスが定刻に発車した後は、車内アナウンス。次の乗車地・横浜駅への到着は約1時間後、横浜を過ぎたら消灯するため、それまではリクライニングは控えめでお願いしますとのことでした。また、乗務員さんによる車内見回りも。
横浜を過ぎたら、バス内2カ所のモニター画面がウィーンと登場。車内案内や注意のDVDが流れました。そして最後には、「それではみなさま、一斉にリクライニングをどうぞ」のテロップとアナウンスが。全員一斉に倒すので、後ろの人への気兼ねや声かけがいらないのです。これは嬉しい!
リクライニングをフルに倒し、プライベートカーテンを閉めて、シートキャノピーも下ろしたら……さあ、いよいよスマホし放題の始まりです! ちなみに、プライベートカーテンは閉めない人も多数でした。キャノピーだけでも暗さもプライベート感も充分確保されるので、カーテンは予備という感じなのですね。
休憩は3回
VIPライナー102便のトイレ休憩は3回。休憩地については消灯前のアナウンスで案内があり、神奈川県海老名市の海老名SA・静岡県浜松市の浜松SA・滋賀県大津市の草津PAで休憩予定。ただし混雑事情などで変更する場合があります、とのことでした。
最初の海老名SAへ到着したのは、1:05頃。横浜駅を24:30に出てアナウンス後に消灯しているので、消灯から約30分での到着です。車内で悠々とスマホを使っていたこともあって、まだ全然眠くない!
なお休憩の合図は、車内足元灯の点灯と車両前方カーテンのオープンのみ。アナウンスや全体点灯はありません。
車内前方に登場する案内ボードで、バスの出発時間を確認。またバスを出るときには、車両カードを受け取ります。これは迷子防止のほかに人数確認の役目もあるため、なくさないようにご注意を。
休憩時間は約20分とゆっくりめ。最初の休憩場所・海老名SAでは、24時間営業のお土産ショップがあったため、ちらっとお店を覗く余裕もありました。ただし取材日はレジが混雑していたため、購入は断念。
次の浜松SAでの休憩は3:45頃~4:05、最後のモテナス草津での休憩は6:30頃~6:50。どこも約20分の休憩でした。
特別に乗務員さんの仮眠室を拝見!
今回は特別に、乗務員さんの仮眠室もちょっとだけ覗かせてもらいました!
乗務員さんの仮眠室があるのはバスのお腹辺り、トランクルームの隣。バス車内とはトイレの脇の扉で繋がっており、急な通行止めや万一の車内トラブルなどの有事の際には、バス車内へ直接出入りも可能だそうですよ。
8:55 終点・なんばへ到着!
スマホし放題に浮かれてずっとスマホをいじっていたはずが、快適リクライニングのお陰で私はすっかり途中で寝落ち……。休憩地で起きても、バスに戻るとまたすぐ寝落ちを繰り返し、ア●プラで映画でも観ちゃおーと思っていたのもすっ飛ばして、いつの間にか外は朝でした。
6:50に最後の休憩地を出発してから、最初の降車地は7:30着の京都VIPラウンジ。到着10分前の7:20頃には、到着と「お客様が降車準備をしやすいように、座席リクライニングを戻していただけますようご協力をお願いします」とのアナウンスが流れましたよ。
発車後には再度消灯して、8:35に大阪梅田へ到着。とはいえ外はすっかり朝のため、そこからは8:55の終点・なんば到着まで消灯なしでした。乗務員さん、お世話になりました!
VIPライナーは、車内でゆったりくつろげるのが大きな魅力のバス。今回さらにキャノピー内でのスマホし放題が加わり、一層プライベート感がある中でリラックスできるようになりました。自分の周囲の空間が隔てられるのは、やっぱり安心感がすごいです!
それに加えて、一斉リクライニングの声掛けやゆったりめの休憩時間、ごみ袋の設置など、VIPライナーの丁寧なサービスは大きなポイント。小さなストレスが減ることで、より快適な時間が過ごせるのです。
この安心感は、バス旅初心者や女性の一人旅にもおすすめ! ぜひ一度体験してみてくださいね。
VIPライナー東京~大阪のバス便
※取材協力/平成エンタープライズ
(陽月よつか)