6月5日は「環境の日」、そして同じく6月は「環境月間」です。政府や企業だけでなく国民全員で環境のことを考えるべく制定されたこの日。
「具体的には何をする日？」「地球温暖化の現状は？」「環境のために私たちができることは？」
そんな疑問やすぐに実践できるエコアクション10選まで、地球を守るためのヒントをやさしく解説します。「環境の日」をきっかけに、今日から暮らしの中で一歩を踏み出してみませんか。
環境の日とは？
6月5日は「環境の日」です。環境の日は、スウェーデンのストックホルムで1972年6月5日から「国連人間環境会議」が開催されたことを記念して、国連がこの日を「世界環境デー」として定めたことに由来しています。日本では、「環境基本法」でこの日を「環境の日」として定めています。
環境基本法の中で、環境の日の目的は”事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高める”こととされ、そのために国と自治体は、環境の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めることとしています。
さらに環境省では、この日を中心とした6月の1ヶ月間を「環境月間」として、環境について様々な取り組みや呼びかけを行っています。
ちょっと堅い説明になりましたが、つまり、この日・この月をきっかけに「みんなで環境のことを考え、行動してみよう」という思いが込められているんですね。
環境の日に実施されるイベントや全国の取り組み
毎年、環境の日や環境月間に合わせて、環境省や自治体を中心に様々なイベントや啓発活動が行われます。どんなイベントがあるのか、2025年の取り組み事例をご紹介します。
＜環境省の取り組み＞
環境省では、6月の1か月間、「環境の日」の認知度向上及び環境問題への更なる意識向上を目的に、Webや雑誌・ラジオなどの各種メディアやSNSと連携して情報発信を行います。
なお、2025年度のテーマは「心地よい暮らしのために、今できる選択を。」です。
→環境省「環境の日及び環境月間」詳細
＜自治体の取り組み事例＞
・大阪市
大阪市では、国連環境計画国際環境技術センター、公益財団法人地球環境センターと共同で、2025年6月7日（土）に大阪・関西万博会場内で、中高生を対象にユースイベント「世界環境デー2025 ユースイベント プラスチックごみのない未来をめざして」を開催します。環境問題に関する講義や各国代表によるプレゼンテーション、ワークショップ型の意見交換会などが行われます。
→「世界環境デー2025 ユースイベント プラスチックごみのない未来をめざして」の詳細
・八王子市
八王子市では、毎年6月に「八王子環境フェスティバル」を開催しています。2025年は6月15日（日）開催予定で、市民団体・企業・学校・行政などによる、体験型の出展ブースやスタンプラリーなどで子どもから大人までが楽しめる内容となっています。
→「2025八王子環境フェスティバル」詳細
そのほか、全国各地で様々なイベントや企画が行われます。ぜひ、お住まいの都道府県や市町村で開催されるイベントを調べてみてくださいね。
地球温暖化の現状とは？「令和元年東日本台風」や「平成30年7月豪雨」にも影響
では、深刻な環境問題である「地球温暖化」の現状はどのようなものなのでしょうか？
IPCC第6次評価報告書では、ついに「人間活動が地球温暖化に影響を与えてきたことは疑う余地がない」ことが断言されました。
産業革命前と比べて地球の平均気温は1.1℃上昇し、すでに異常気象の激甚化・頻発化が起こり始めています。
日降水量200mm以上の年間日数が直近30年で約1.7倍となるなど、長期的に大雨と短時間強雨の頻度は増えており、その背景には地球温暖化の影響もあると考えられています。
また近年の甚大な気象災害も、実は地球温暖化の影響を受けていたことが指摘されています。
例えば、「令和元年東日本台風」では、1980年以降の気温が約1℃上昇したことによって、総降水量が10.9%増加したという研究結果がでています。また「平成30年7月豪雨」では、地球温暖化の影響により、50年に1度の大雨の発生確率が約3.3倍になったことが示唆されました。
このままでは、21世紀中に地球温暖化は+1.5℃および+2℃を超え、最大では5.7℃上昇すると予想されています。それによって、大雨だけでなく高温、干ばつなどの極端現象の強度や頻度がさらに増えるおそれがあります。
気候変動による災害リスクの拡大を食い止めるためにも、早急に二酸化炭素などの温室効果ガスの削減が必要です。
国際的な枠組みであるパリ協定では、地球の平均気温の上昇をできる限り1.5℃に抑えることが長期目標として掲げられています。しかし、今のままではその達成は到底難しいのが現状です。
こうした対策は、決して国や企業だけに任せておけばよいというものではありません。家庭から排出される二酸化炭素の割合も小さくはないため、私たち一人ひとりが行動することが大切です。たとえ小さなことでも、日々の暮らしの中でできることから取り組んでいくことが、未来を守る第一歩になります。
大雨発生数の変化（降水量200mm以上の年間日数）
今日からできる！身近なエコアクション10選
では、二酸化炭素の排出を減らすために私たちにできる行動とは、どんなものがあるのでしょうか？ここでは日々の暮らしの中で始めやすい、おすすめのエコアクション10選をご紹介します。
①できるだけ公共交通機関・自転車・徒歩で移動する
（近距離の自動車通勤をやめて徒歩や自転車にした場合）
CO2削減量：年間161.6kg
健康増進に加えて、ガソリン代の節約で年間約11800円お得になります。
②エコドライブ
（ふんわりアクセルや速度・車間距離を保った運転にした場合）
CO2削減量：1台あたり年間117.3kg
安全運転に加えて、ガソリン代の節約で年間約9000円お得になります。
③冷暖房の温度設定を1℃控えめにする
（エアコンなどの冷房の設定温度を+1℃にした場合）
CO2削減量：年間5.3kg
（暖房の設定温度を-1℃にした場合）
CO2削減量：年間35.3kg
家庭内でも服装を上手に調整してクールビズ・ウォームビズを実践することで、光熱費を年間約3900円節約できます。
④シャワーや洗顔・手洗いをするときは水を出しっぱなしにしない
（水をこまめに止めて節水した場合）
CO2削減量：シャワーで約0.1kg/回、洗顔や手洗いで約0.002kg/回
（毎日シャワーを1回、洗顔・手洗いを2回とすると年間30kg以上）
節水することで、上下水道の節約にもつながります。
⑤ゴミの分別・削減（リサイクル、マイバッグ・マイボトルの利用）
（ゴミを分別・リサイクル・マイバッグやマイボトルを利用した場合）
CO2削減量：1世帯あたり年間28.8kg
有料ゴミ袋代や飲み物代の節約、リサイクルポイントの付与などによって年間約3800円の節約になります。ラベルレス製品を選ぶと、面倒な分別の手間を減らすことができます。
⑥リユース品の衣服をオンラインで購入する
（ECやフリマアプリを使ってリユース品の衣服を購入した場合）
CO2削減量：1着あたり9.5kg
洋服代の節約が、なんと二酸化炭素の削減にもつながります。
⑦地元産の旬の食材を選ぶ
（旬の野菜や果物を選んだ場合）
CO2削減量：1個あたり0.1kg
輸送にかかる燃料を減らし、安心安全で健康的な食生活の実践と地域貢献ができます。
⑧食べ残しをしない
（食品を食べきる、食材を使い切るなどして食品ロスを削減した場合）
CO2削減量：年間3.7kg
⑨エレベーターの代わりに階段を使う
（2階分の往復を毎日した場合）
CO2削減量：年間25kg
⑩宅配便を1度の配送で受け取る
（再配達にならず宅配便を1度の配達で受け取った場合）
CO2削減量：1回あたり0.18kg
エコなだけでなく、深刻なドライバー不足や物流問題の改善にも貢献できます。
※数値は環境省ホームページ「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの10年後（関連資料）」および「デコ活データベース」より
このように、節電・節水はもちろんのこと、それ以外にも、私たちの日常には二酸化炭素の削減につながる行動がたくさんあります。しかも、それらの行動は環境にやさしいだけでなく、あなた自身にとってもうれしいメリットがあるものばかりです。
「何から始めればいいのかわからない…」という方は、まずはこの中から気になったことを1つだけでも試してみてください。
すでにエコアクションを実践している方も、「これはまだできそう」と思ったものがあれば、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
（参考）
・国土交通省「国土交通白書2022」
・環境省 デコ活ウェブサイト 「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの10年 後（関連資料）」
・環境省 デコ活ウェブサイト 「デコ活データベース」
