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ひょう(雹)の怖さを知っていますか?車や家屋に及ぶ深刻な被害とその対策・対処法


ひょうは氷の粒が5mm以上の大きさで降る現象で、時にはゴルフボールやバレーボール、さらにはカボチャほどの大きさになることもあります。大きなひょうが降ると、車や住宅、農作物に深刻な被害を及ぼし、人がケガをすることもあります。記事では、ひょうの大きさや速度、被害の例を詳しく解説し、車を守るために屋内駐車やカーポートの設置、農作物を守るためのネット設置などの予防策を紹介しています。また、ひょうの発生を事前に察知するために気象情報や雷注意報の活用を勧めています。

時にひょう(雹)は、“氷の粒”というよりも“氷の塊”と呼べるほどの大きさで降ってくることがあります。近年では、ゴルフボール大のひょうが降ったというニュースを耳にすることも珍しくありません。さらに過去には、それを上回るバレーボールサイズやカボチャ大のひょうが降ったという記録も残されています。
ひとたび大粒のひょうが降れば、車や農作物、住宅などが損傷したり、ケガをしたりするなど、深刻な被害につながるおそれがあります。

「まさかひょうでこんな被害を受けるとは思わなかった…」

そんな事態を防ぐために、この記事ではひょうの大きさや威力、想定される被害、そしていざという時の備え方や対処法について詳しく解説します。


恐怖!過去にはバレーボールやカボチャ大のひょうが降った記録も

空から降ってくる氷の粒の直径が5mm以上のものを「ひょう(雹)」といいます。
一般的には、ひょうの大きさは直径5mm〜2cm程度が多いですが、上は数cmからそれ以上になることもあります。
直径2.5cmを超える大きさになると、車や建物、農作物などへの被害が出やすくなり、さまざまな災害につながるおそれがあります。

では、最大でどれくらいの大きさのひょうが降ると思いますか?
公式としては、アメリカで2010年にサウスダコタ州で観測された、直径8インチ(約20cm)のひょうが降ったという記録があります。これはバレーボールほどの大きさで、重さは1.9375ポンド(約878g)になります。
また日本では、古い記録のため正確性にはやや疑問が残るものの、1917年(大正6年)に埼玉県で、重さ約3.4kg、なんと“カボチャほどの大きさ”のひょうが降ったという記録が残されています。

ここまで極端ではないものの、近年の日本でも、ゴルフボールほどの大きさ(直径約4〜5cm)のひょうが降ったというニュースは、ほぼ毎年のように報じられています。
このように、私たちが想像している以上に大きなひょうが降るケースもあり得るのです。

2010年アメリカのサウスダコタ州で観測された直径8インチ(約20.3cm)のひょう(出典:NOAA/NHC)

2010年アメリカのサウスダコタ州で観測された直径8インチ(約20.3cm)のひょう(出典:NOAA/NHC)


空から時速100km超のゴルフボールが!?ひょうの落下速度とその威力

では、ひょうの威力は一体どれくらいになるのでしょうか。

まずひょうが落ちてくるスピードは、大きいほど速くなります。そして、ひょうが当たった時の威力は、ひょうの威力は、重さと落下スピードが増すほど強くなります。

パチンコ玉大(直径1cm程度)であれば、落下速度は時速約50kmほどになりますが、その重さは1gにも満たず、当たってもほぼ感じない程度です。
しかし、ゴルフボール大(直径4〜5cm)のひょうになると話は変わります。その重さは一般的なゴルフボールと同じくらいで、計算上の落下速度は時速100kmを超えます。まさに思い切り投げたゴルフボールがぶつかるのと同じくらいの威力になり、当たればケガをしたり、物が傷ついたりするほどの危険性があります。

このように、ひょうは思っている以上の大きさになることもあり、さらに大きくなるほどその威力も大きくなって、さまざまな被害を引き起こします。


【ひょうの被害①】車のボディやガラスに傷がつく

ひょうが降ると、車のボンネットや屋根がへこんでボコボコになったり、フロントガラスが割れてしまうこともあります。「カーポートの下なら大丈夫」と思いがちですが、時にはひょうの衝撃で屋根に穴が開き、下に停めていた車まで傷ついてしまうこともあるのです。

2024年4月に関西で発生した降ひょう被害では、多くの車が損傷を受けました。この時の車両保険の支払い件数は約8万件、支払保険金額はなんと300億円以上にも及んだそうです(日本損害保険協会発表)。

このように、ひとたび大きな粒のひょうが降れば、屋外にある車は直に被害を受けてしまいます。

また、駐車中だけでなく、運転中にひょうに見舞われた際も十分な注意が必要です。車に傷がつくだけでなく、視界が悪化したり、路面に積もったひょうでスリップして事故を引き起こすおそれもあります。

ひょうによる車への被害の例

ひょうによる車への被害の例


【ひょうの被害②】家屋や建物の窓ガラスや屋根、外壁などが破損する

さらにひょうによる被害は、家屋やその他建物に及ぶこともあります。窓ガラスが割れたり、アルミサッシが歪む、雨樋が破損するなどの被害が発生します。また屋根や外壁の破損やへこみ、塗装が剥がれる、ひびが入るといったことも起こります。
また車への被害でもお伝えしたように、カーポートの屋根の損傷も、ひょうによる建物被害としては非常に多く発生しています。

例えば近年では、2022年6月に埼玉県において、降ひょうによって1000棟を超える家屋の窓ガラスが割れる被害が発生しました。

ひょうによる建物への被害の例

ひょうによる建物への被害の例


【ひょうの被害③】ひょうの直撃や、割れたガラスでケガをする

ひょうが直接頭や肩・腕などにあたって打撲や骨折をしたり、ひょうによって割れたガラスの破片でケガをしたりと、人的被害が発生することもあります。

2022年6月の群馬県の降ひょう被害では、ひょうによって割れたガラスで切ったりひょうがあたるなどして90人以上が軽症を負いました。
さらに海外では、ひょうが直撃したことによる死亡事例も発生しています。

少しくらいのひょうなら大丈夫だろう…と思いがちですが、降ひょうによって屋外はもちろん、屋内でも危険に晒される場合があるのです。

ひょうによる人への被害の例

ひょうによる人への被害の例


【ひょうの被害④】農作物が傷つき、農業施設が壊れる

農業にはさまざまな天候リスクがつきものですが、中でもひょうは、農作物などに大きな被害を与える気象現象のひとつです。
ひょうの影響で、野菜や果物に傷がついたり落下するなどして、収穫量や品質に大きな被害が生じることがあります。さらに、ビニールハウスが破損するなど、農業施設にも大きな被害をもたらします。

2022年5・6月は、東北〜関東甲信にかけての広い範囲で、ひょうによる農作物やビニールハウスなどへの被害が相次ぎました。農林水産省のまとめによると、果物や野菜、麦などの農作物被害が特に多く、被害総額は約90億円にものぼりました。

ひょうで傷ついた収穫前のりんご

ひょうで傷ついた収穫前のりんご


事前にひょうの危険性を知るには?

ここまで解説してきたとおり、時にひょうは、私たちの生活に深刻な被害をもたらすことがあります。

ですが、ひょうは非常に局地的に発生する現象で、正確な予測が難しい現象の一つです。
しかしながら、ある程度発生可能性を予測することはできます。そのような時、天気予報ではいくつかの方法で「ひょうが降る可能性がある」ことをお伝えしています。

一つは、「降ひょうに関する気象情報」と呼ばれるものです。気象庁によって、ひょうによる被害が発生するおそれがある時に発表されます。この情報は、気象庁ホームページなどで確認することができます。
またこの情報が発表された際には、テレビやWebの天気予報の中で、気象予報士などがひょうが降る可能性があることをお伝えします。

もう一つは、「雷注意報」です。その名の通り、基本は落雷によって被害が発生する可能性がある時に発表される情報ですが、雷をもたらす発達した積乱雲は、急な強い雨、竜巻などの突風、降ひょうといったさまざまな激しい気象現象を伴うため、それらも含めて注意を呼びかける情報です。

ひょうの予想は、晴れや雨といった天気予報のマークだけでは把握するのが難しいため、ぜひ、あわせて解説や警報・注意報をチェックする習慣をつけてみてください。

それから、降ひょうの前兆現象を知っておくと、事前に危険を察知することができます。
ひょうが降る時には、積乱雲が発達するため、前兆として「急に真っ黒な雲が近づいてくる」「雷鳴が聞こえる」「稲光が見える」といった天候の急変が挙げられます。
このような時は、ひょうを降らせるような発達した雨雲が近づくサインです。天気の急変を見逃さないようにしてください。

このように、「ひょうに関する気象情報」や「雷注意報」が発表された、気象予報士などが解説でひょうが降る可能性について言及した、前兆現象を見聞きしたといった時には、注意をしましょう。

降ひょうに注意すべき前兆

降ひょうに注意すべき前兆


ひょうの被害を防ぐためにできること

では、ひょうの被害にあわないようにするためには、どのような対策や対処をすれば良いのでしょうか。

◆車の場合の対策・対処法
ひょうから車を守るためには、ガレージや丈夫な素材で作られたカーポートを設置し、日頃から屋内に駐車する習慣をつけておくと安心です。
これらの設置や屋内での車の保管が難しい方は、ひょうが予想されたり降ってきた場合には、ひょう対策用のボディーカバー、なければ毛布やダンボールで車を覆いましょう。

運転中にひょうが降ってきた場合は、近くに屋根のある駐車場があれば退避してください。激しい降ひょうに見舞われ、退避できるような駐車場が見つからない場合には、安全が確保できる路肩にハザードランプを点灯して停車し、ひょうが収まるのをのを待ちましょう。

なお、万が一車が被害にあった場合には、多くの場合、自動車保険(車両保険)に入っていれば補償されます。いま一度、補償内容について確認をしておきましょう。

ひょうの対策・対処法(車の場合)

ひょうの対策・対処法(車の場合)

◆徒歩など屋外にいる場合の対処法
徒歩や運動中など、屋外でひょうが降ってきた場合には、頑丈な建物に避難をしましょう。ただし、ひょうをもたらす積乱雲は落雷の危険もあるため、木の下や軒下は避けてください。

また避難する際には、鞄や帽子、上着、服のフードなどで頭を守りましょう。

◆家や建物の中の場合の対処法
ひょうが降ってきたら、雨戸やシャッターがあれば閉めましょう。なければ、ガラスが割れた時に飛散を防ぐため、カーテンを閉め、窓から離れてください。

万が一、家屋などの建物に被害が発生した場合は、火災保険が適用できる場合があります。あらかじめ加入状況や補償内容について確認をしておきましょう。

◆農作物への対策
農作物を降ひょう被害から守るためには、事前に防ひょうネットを設置するなどの対策を講じましょう。
また、農作物が被害に遭ってしまった場合には、事後対策が重要です。早期回復や傷から病害が広がるのを防ぐための対策を行い、被害を最小限に食い止めましょう。

ひょうの対策・対処法(屋外や屋内、農作物の場合)

ひょうの対策・対処法(屋外や屋内、農作物の場合)

(参考)
・NOAA「Record Setting Hail Event in Vivian, South Dakota on July 23, 2010」
・一般社団法人 日本損害保険協会「兵庫県を中心とした令和6年4月16日の降ひょうに係る各種損害保険の 支払件数・支払保険金等について」
・埼玉県「令和4年6月2日の洪水注意報・降ひょうによる被害状況について(第3報)」
・群馬県「【6月8日】降ひょう(6月2日)に関する情報(最終報)(6月8日12時00分現在)(危機管理課)」
・農林水産省「令和4年5月からのひょう害に係る農林水産関係の被害状況」

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