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飛行機雲のメカニズムを解説 雲が長く残ると天気は下り坂?


飛行機が飛んでいる音が聞こえたとき、空を見上げると白く細長い雲が伸びていることがあります。このいわゆる飛行機雲はどのようにしてできるのでしょうか?「飛行機雲が消えないで広がると雨、消える場合は晴れ」ということわざの科学的な理由を気象予報士が解説します。


飛行機雲とは?

通常、雲は地上付近の空気が暖められて上昇し、冷やされて含み切れなくなった水分が周囲の小さなちりなどにくっつき、雲粒を作ることで発生します。

自然に発生する雲は、10種雲形と呼ばれるように、雲の形と発生高度によって10種類に分類できます。飛行機が巡航する上空約9km~12kmは、巻雲や巻積雲など上層雲が発生する高度になります。

飛行機雲とは、飛行機が通過した後にできる白く細長い雲のことで、人為的で特殊な雲にあたります。飛行機雲が10分以上残る場合、気象学的には飛行機由来巻雲と呼びかたが変わります。


飛行機雲ができる2つのメカニズム

飛行機雲のできかたには2種類あります。

①エンジンから発生
エンジンから300~600度にもなる高温の排ガスが放出されています。飛行機が飛ぶ上空10km前後では、周囲の気温は-40度~-60度となり、冷凍庫よりも遥かに低くなっています。
この上空の冷たい空気で高温の排ガスが冷やされると、空気中に含まれる水蒸気が氷の粒となり、細長い白い雲として見えるようになります。このため、エンジンの数と同じ本数の飛行機雲が現れます。

②翼から発生
翼から発生する場合は、揚力と密接に関係しています。翼は断面から見ると上側にまるみを帯びているため、空気は上側の方がより速く流れやすくなっています。
翼の上下の圧力差から揚力が発生し、翼の後ろ側では、翼の下側を流れた圧力の高い空気が膨張して冷やされることで雲が生じます。

また翼の先端では、翼の上下の圧力差を解消させようと翼の横から空気が回り込むため、翼端渦という渦状の空気の流れができ、飛行機雲となることがあります。

翼由来の飛行機雲は、翼全体から広く生じる場合と、翼端渦によって細く渦状に生じる場合があります。


特殊な飛行機雲「逆飛行機雲」

飛行機雲とは逆に、エンジンの通過した所だけ雲が消え、青空が細く伸びる逆飛行機雲もあります。これは、
①エンジンからの高温の排ガスが雲粒を蒸発させる
②翼が通った後に、周囲の乾燥した空気と雲が混ざることで雲粒が蒸発する
などの理由で発生します。


飛行機雲が残る時と残らない時の違い

飛行機雲を見ていると、長く残り続ける場合とすぐに消えてしまう場合がありますが、これは上空が湿っているかどうかが関係しています。

飛行機雲がすぐに消えてしまうのは、上空が乾燥している場合です。
エンジンの高温の排ガスが、急速に冷やされて氷の粒ができても、周囲が乾燥している場合は氷の粒が蒸発してしまうため、飛行機雲はすぐに消えてしまいます。

反対に上空が湿っている場合は、すぐに氷の粒が蒸発しにくいため、飛行機雲は長く残り続けます。


飛行機雲に関する天気のことわざ

「飛行機雲が消えないで広がると雨、消える場合は晴れ」ということわざがありますが、これはどうしてそう言えるのでしょうか?

前述のように、すぐ消えるかどうかは上空の湿り具合によります。

そして、上空の空気が湿っている時というのは、概して西から低気圧が近付いている時です。下図のように、高いところの雲から現れ始め、だんだんと低い雲が現れます。
つまり天気は下り坂、これから悪くなっていくと予想される時です。

一方、上空の空気が乾燥しているのは、概して高気圧に覆われて晴れている時です。
すぐに天気が悪くなるようなことはあまりないでしょう。

このように、「飛行機雲が消えないで広がると雨、消える場合は晴れ」というのは、上空の空気が湿っているかどうか(これからの天気がどうなるか)を飛行機雲の持続時間から判断することわざなのです。


まとめ

飛行機雲は、大気の上層にできる人為的な雲で持続時間からこの先の天気を予測する観天望気※の材料となります。
ふと空を見上げて飛行機雲を見つけた際には、今後の天気を予測してみてはいかがでしょうか?

※観天望気…空の色や風向き、地形、動物の様子などから天気を予想することわざのようなもの

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