高速道路を走行する際は、一般道路よりも車間距離を広めに取ることが推奨されています。車間距離が狭すぎるとさまざまなリスクが生じますので、高速道路における適切な車間距離をあらかじめチェックしておきましょう。
今回は、高速道路で車間距離が狭いことによって生じるリスクや、適切な車間距離の目安、安全な車間距離を保つコツをご紹介します。
高速道路で車間距離が狭いことによるリスク
高速道路で十分な車間距離を取らないと、以下のようなリスクがあります。
■追突事故のリスクが高まる
車はブレーキを踏んでから、実際に停止するまでには、ある程度の時間と距離が必要です。
車間距離が狭すぎると、前の車が急停止したときにブレーキが間に合わず、追突してしまう危険性があります。
とくに高速道路は一般道路よりスピードが出ている分、ブレーキが利くまでの時間、距離が長くなりますので、追突事故を起こすリスクは高いといわれています。
■あおり運転と間違われるおそれがある
あおり運転というと、しきりにクラクションを鳴らされる、幅寄せされるなどのイメージがありますが、車間距離を詰めた運転もあおり運転とみなされる可能性があります。
実際、警察庁の調べでは、あおり運転の被害を受けたことがあると回答した人のうち、8割以上が「後方からの著しい接近」を被害内容に挙げています。[注1]
令和2年6月10日に公布された改正道路交通法により、あおり運転を含む妨害運転に対する罰則が創設され、同月30日からはあおり運転が厳正な取り締まりの対象となりました。[注1]
あおり運転によってほかの車両などの通行を妨害したとみなされた場合、懲役3年、罰金50万円以下に処される可能性があるほか、違反点数25点で免許取消しとなります。[注1]
通行妨害が目的ではなかった場合でも、高速道路上での車間距離不保持は交通違反となり、違反点数2点、反則金9,000円(普通車)という罰則の対象となります。[注2][注3]
あおるつもりはなかったとしても、車間距離を詰めすぎるとあおり運転として通報されたり、前の車とトラブルに発展したりするおそれがあるので注意が必要です。
[注1]政府広報オンライン:「『あおり運転』は犯罪です!一発で免許取消し!」
[注2]警察庁:「反則行為の種別及び反則金一覧表」
[注3]警察庁:「交通違反の点数一覧表」
■高速道路における車間距離の目安
道路交通法第26条では、車間距離について、前の車両が急停止したときでも追突を避けられる程度の距離と定義しています。[注4]
具体的に何mと決められているわけではありませんが、高速道路上では、速度計と同じ数字(m)だけの車間距離を開けるのが一般的とされています。80km/hで走行しているときは80m、100km/hで走行しているときは100mの車間距離を開けるのが理想です。
高速道路の本線上には、車間距離を把握しやすいよう、車間距離確認標識(表示板)が設置されていますので、標識を見かけたら前の車との車間距離が適切かどうかチェックしてみましょう。
なお、上記の目安は路面がドライになっている場合を想定したものです。雨や雪が降っているときは路面が滑りやすく、晴天時よりも多くの車間距離を必要としますので注意しましょう。
[注4]e-Gov法令検索:「道路交通法」
高速道路で安全な車間距離を確保するためのコツ
高速道路で安全な車間距離を取るためのコツを2つご紹介します。
■1. 車間時間を確認する
高速道路の車間距離は、車間距離確認標識で確認する以外に、車間時間をチェックするという法もあります。
車間時間とは車間距離を時間に換算したもので、先行車がある地点に到達してから、自車がその地点に到達するまでの時間を計ります。
車間時間は2秒以上が目安とされていますので、路面のジョイントや照明灯などを目印にして、前の車が通過したら「01(ゼロイチ)、02(ゼロニ)」とゆっくり数えてみましょう。[注5]
02をいう前に同地点を通過してしまった場合は車間距離を詰めすぎているおそれがありますので、スピードを落として調整します。
[注5]警視庁:「高速道路を利用する皆様へ」
■2. 路面の状態が悪いときは車間距離を多めに取る
雨や雪が降っていて路面の状態が悪いときはタイヤが滑りやすく、ブレーキの利きが悪くなります。
同じスピードで走行していても、路面がドライのときに比べると停車距離が2倍以上になるといわれていますので、車間距離はいつもより多めに取ることを心がけましょう。[注6]
たとえば80km/hで走行しているのであれば、通常は80mの車間距離を取れば十分ですが、雨や雪のときは倍の160mの車間距離を取ることを意識します。
車間時間も通常は2秒のところを、3~4秒以上に増やせば、安全に走行できるでしょう。
[注6]NEXCO中日本:「高速道路では、80mとか100mの「車間距離」が必要といわれるのはなぜですか?」
十分な車間距離を保って高速道路を安全に走行しよう!
高速道路は一般道路よりも車のスピードが出やすいので、いつもよりしっかりと車間距離を取る必要があります。
車間距離を詰めすぎると、追突事故のリスクが増したり、あおり運転と誤解されたりするおそれがありますので注意しましょう。
高速道路上での車間距離は速度計と同じだけ開けるのが一般的とされていますが、路面の状態が悪いときは通常の倍以上の距離を開けることをおすすめします。
天気予報専門メディア「tenki.jp」では、気象影響リスクのある道路区間を一覧で表示する「道路の気象影響予測情報」を公開しています。
これから走行する予定の高速道路に気象影響リスクがないかどうか事前にチェックし、リスクがある場合は車間距離をしっかり取って安全運転を心掛けましょう。