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夜明け前の競演と青空の「金星食」。5月27日は月と金星に注目しましょう


明けの明星として東の空で輝く金星。27日の夜明け前には、幻想的な細い月と並び、美しい光景を見せてくれます。同じ日の午後には、一部の地域で月が金星の前を横切って隠す「金星食」がおこります。夜空で最も明るく輝く月と、月に次ぐ明るさの金星。今回は、この2天体の華やかな競演ついてご紹介します。


満ち欠けする金星。明け方に月と並び、昼間には「金星食」も

金星は約1年7か月の周期で満ち欠けを繰り返し、見かけの大きさも変化します。惑星が地球から見て太陽と同じ方向にあることを「合」といい、このときは地球からその姿を見ることはできません。地球より内側を公転する内惑星の場合は、太陽と地球の間を通る「内合」と、太陽を挟んで遠くを通る「外合」があります。

内合を過ぎた内惑星は反時計回りで太陽の西側に移動し、地球からは日の出前の東の空に見えます。この位置にある時の金星は「明けの明星」と呼ばれ、2022年は10月下旬に外合となるまで明け方の空に姿を現します。外合を過ぎると今度は太陽の東側に移動し、12月中旬頃から「宵の明星」として西の空に輝きます。

27日の金星は、太陽から西に最も離れる「西方最大離角」を経て外合に向かう位置にあります。かたちは膨らんだ半月状で、明るさは約マイナス4等。この日は夜明け前の東の低空で、金星の右側に月齢26の細い月が並び、美しい眺めとなります。午後には青空をバックに、九州南部より南の地方で月が金星を隠す「金星食」がおこります。

画像:国立天文台

画像:国立天文台


空をめぐる月が惑星の前を横切り、姿を隠す「惑星食」

注目度が高い「日食」や「月食」に比べると、「惑星食」という言葉は聞きなれないかもしれません。月は地球から見ると西から東へと進み、約1か月で空を一周しています。月は背後にある天体を隠しながら移動し、惑星の前を横切って隠すときの現象を「惑星食」、恒星を隠すときの現象を「恒星食」と呼んでいます。個別には、隠す天体の名をとって「○○食」と呼びます。

今回の金星食は昼間におこるため肉眼で見ることは難しく、双眼鏡や望遠鏡が必要になります。観測するときは、太陽を見ないように十分注意しましょう。

2022年に注目したい惑星食には、7月21日から22日の深夜におこる火星食もあります。今回の金星食を見ることができない北海道と東北地方で、全行程が観測可能。こちらも楽しみに待ちたいですね。

画像:国立天文台

画像:国立天文台


青空をバックにした金星食。望遠鏡なら、潜入と出現が見どころ

27日の13時頃から14時頃にかけて、宮崎県、鹿児島県の一部の地域、沖縄県、東京都小笠原村で観測できる今回の金星食。地球から見ると金星は面積があるため、月に隠れる時(潜入)と出てくる時(出現)に、それぞれ約1分弱の時間がかかります。望遠鏡を使うと、金星が月にだんだんと隠されていく様子や現れてくる様子を観察することができるでしょう。恒星食の場合は潜入も出現も一瞬で終わるため、金星食の潜入と出現は見どころといえます。細い月と丸みをおびた金星のかたちにも注目してみましょう。

那覇では、13時9分頃に金星が月の明るい縁に潜入し、約1分後にはすべて月に隠されます。約1時間後の14時10分頃、金星が月の暗い縁から出現し始め、約1分後に月の裏から完全に姿を現し、食が終了となります。潜入と出現の時刻や月のどの位置に出入りするかは、地域によって異なります。事前に確認してから観測しましょう。

今回の金星食を観測できない地域では、金星が月の北寄り(上の方)を通り過ぎていく「接近」となり、こちらも興味深い現象です。その様子は、双眼鏡を使うと昼間の光のなかでも観測することができるでしょう。

◆金星食が観測可能な地域と時刻
国立天文台暦計算室「惑星食各地予報」


・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「ほしぞら情報」
アストロアーツ「2022年5月27日金星食」

画像:国立天文台

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