山梨に住んで1年半くらいが経ちました。去年は、山に近いところに住んでいても思うように登れなかったというのが素直な感想ですが、今年の夏はできるだけ山にでかけようと思っています。天気を肌で感じるためにも、外で過ごすのが一番です。早速、梅雨明け前後の晴れ間をついて、富士山と北岳に登ってきました。山と天気の様子を2回に分けてリポートします。今回は「富士山」編です。
梅雨明け目前 雲が様々な表情を見せる富士山
去年は、富士山の登山道が閉鎖されていたので、今年こそは登ろうと思っていました。梅雨があける少し前の7月10日、午前中は甲府で仕事があったので、吉田口5合目に到着したのは夕方でした。5合目で宿泊して、翌日に吉田口頂上に登りました。
梅雨が明ける前といっても梅雨前線の活動が弱まっていたので、晴れる自信はありました。満点の星空の下、5合目を出発しました。7合目で雲海から陽が登り、つるし雲が赤く焼ける様子が印象的でした。山頂を見上げると笠雲がかかっているようでしたが、登るにつれて雲も薄くなっていくので、まるで雲を追いかけながら登っているようでした。山頂に上がると、雲海が白い大海原のようで壮観でしたが、風がとても強かったのですぐに降りてきてしまいました。
当日の天気を天気図で振り返り
天気図を振り返って実際の天気と照らし合わせると、いろいろと得られるものがあります。
予想天気図を見ると、日本の南海上には太平洋高気圧、千島列島付近にはオホーツク海高気圧(正確にはオホーツク海に中心がありませんが)があり、その間に梅雨前線があるようです。
500hPa天気図を見ると、サブハイ(亜熱帯高気圧。天気図上では、上空500hPaの5880m付近を目安としていることが多い。)は日本の南から西に勢力を広げたことで南西からの暖湿気が直接流入せず、700hPaは案外湿っていないことがわかります。梅雨の最終局面で、梅雨前線の活動自体は弱まっているようです。
一方、500hPaの気圧の谷が接近しているので雲の広がりやすい要素もありました。プラス渦度の通り方を見ても、上空の風はまだ強そうです。山頂はこの風の直撃を受け、風下につるし雲を生み出したと考えらます。また、この気圧の谷の-9℃以下の寒気に対応して、南東象限に湿りが予想されています。大気の状態が不安定になることが予想され、実際にこの日の午後は関東甲信の広い範囲で雷雨がありました。こういう日は、午前中で下山してしまった方が安全だと思います。
今回の富士山は梅雨の雰囲気が残る中の登山でしたが、梅雨が明けると日本を取り巻く天気の状況は大きく変わります。次回は梅雨明け後の北岳の様子をリポートします。