気温が上がり、冷やし麺が恋しくなる季節がやってきました。暑い時はそうめん、冷やしうどん、冷麺、ざるそば、冷やし中華、つけ麺など、ツルッとしたのどごしの冷たい麺類が食べたくなります。ところで、北海道では冷やし中華のことを「冷やしラーメン」とよびますが、これとは別に「ラーメンサラダ」というものが存在します。中華麺を使った野菜たっぷりのサラダ。学校給食にも登場する北海道の定番メニューです。
冷やし中華よりも野菜の量が多い。なぜなら、サラダだから
ラーメンサラダは一見するとゴマだれの冷やし中華にも見えますが、麺を味わうことを主とする冷やし麺ではなく、サラダなのであくまでも野菜がメインです。コンビニでよく見かけるパスタサラダのパスタがラーメンに置き換わり、かけるものが「タレ」ではなく「ドレッシング」となったものがラーメンサラダです。
ラーメンサラダの定義に特別なルールはありませんが、あえてあげるとすれば、サラダなので麺よりも野菜の量が多い、主食としての冷やし麺ではないので年中食べられる、大きな皿に盛り付けてみんなで取り分けて食べる、となるでしょうか。
トマトやレタス、キュウリや紫キャベツなど、サラダの具の種類の一つとしてラーメンが入っている、と考えるとわかりやすいかもしれません。
札幌のホテルが発祥。居酒屋の定番メニュー。盛りつけは高さを出して
ラーメンサラダが誕生したのは昭和60年(1985年)。札幌グランドホテルにあるビアホール「ビッグジョッキ」がオープンするとき、店のメニューとしてはじめて提供されたものが発祥といわれています。
ラーメンの麺にレタス、トマト、キュウリ、ニンジン、紫キャベツ、エビ、シーフードなどが彩りよく盛りつけられ、オリジナルのドレッシングをかけた「元祖ラーメンサラダ」。冷やし中華と違って、盛りつけ方はサラダらしく高さがあります。今も札幌グランドホテルの名物メニューで、札幌市民だけでなく観光客にも大人気の一品です。
今ではラーメンサラダは北海道各地はもちろん、全国の居酒屋などでも見かけるようになりました。ラーメンの麺を使った新しいメニューによって、新たなマーケットが開拓され、麺類の消費が拡大されたとして、平成16年(2004年)、北海道製麺協同組合は札幌グランドホテルに感謝状を贈りました。
略して「ラーサラ」。小学校の給食にも登場。コンビニでも販売
道民にとって定番のラーメンサラダですが、略して「ラーサラ」とよばれることもあります。小中学校の給食にも普通に登場し、暑い日などは特に人気のメニューです。
最近ではコンビニで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。サラダの棚をよく見ると、パスタサラダと並んでラーメンサラダが並んでいます。麺系サラダの定番であるパスタサラダのラーメン版といったところでしょうか。
コンビニのラーメンサラダは札幌グランドホテルの元祖とはかなり様変わりしていて、肉味噌がのった辛い坦々麺風だったり、豚しゃぶがのっていたりなど、わりとガッツリ系のものが目につきます。肉がたっぷりのったラーメンサラダは、サラダだけどタンパク質も豊富に摂れるので、これ一つでお昼のおかずにもなりそうですね。
北海道では市販のタレが簡単に手に入るので、家庭の食卓にのぼることもあります。ただ、サラダだから、かけるものはドレッシングであるはずなのに、ボトルには「タレ」と表示されて売られています(札幌グランドホテルからは「ドレッシング」として販売されています)。
参考
北海道ファンマガジン「北海道発祥のラーメンサラダとは?」
札幌市学校給食栄養士会「ラーメンサラダ」
札幌グランドホテル「元祖ラーメンサラダ」
日清食品チルド「札幌グランドホテル監修 ラーメンサラダ」
気温も湿度も高くなり、洗濯物が乾かないジメジメした梅雨の時期は、蒸し鶏やシーフード、たっぷりの野菜をのせた冷やし麺で栄養を補給したくなります。ラーメンサラダをはじめ、冷やし中華やそうめんなどの冷やし麺には、具やタレに特別なルールはないので、自分流にアレンジしてオリジナルレシピを考えるのも楽しいかもしれませんね。