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雨も雪に変わるころです。二十四節気は「小雪(しょうせつ)」となりました


11月も終わりに近づき北の国や山あいの地方では、雪が見られるようになる頃です。山に降った雪片は、風に運ばれ風花となり舞うこともあるでしょう。平地では北風が木の葉を舞い散らす落葉の季節。「日に日に冬の訪れを感じます」と手紙を書き出したくなります。暖房の準備もしておかなければいけないし、夜はあったかい鍋が恋しい、そんな時季が「小雪」でしょうか。師走はもうすぐ、慌ただしさの前の穏やかなひとときを少し見つめてみましょう。

初雪と笹

初雪と笹


耳を澄まそう! 季節の音はすぐそこで

早朝掃いたはずなのにあっという間に一面の落ち葉。道路を歩いていても並木道は落ち葉でいっぱい。カサカサと乾いた音をたてて散る落ち葉は足下に重なり、その厚さに冬への歩みが思われます。「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」は「小雪」の次候です。この音は「時雨」にたとえられて「木の葉時雨」や「落ち葉時雨」といわれます。

「見えている落葉時雨の中に入る」 稲畑汀子

「境内の落葉時雨に子等も舞ふ」  肥沼初江

降りしきる落葉を楽しむ様子が読みとれます。晩秋から冬へと向かう静けさの中にもしっかりと季節の音を聞いて楽しみたいですね。

太平洋側のカラッとした天気の一方で北海道から届いた雪の映像を見ると、すでに冬が到来していることを知り驚かされます。南北に長いだけでなく背骨のように日本列島に横たわる高い山が、時として分ける大きな気候の違いには驚くばかりです。


香りを楽しもう! 冬こそ柑橘類のさわやかさを

「小雪」の末候は「橘始黄(たひばなはじめてきばむ)」です。常世草(とこよぐさ)といわれるミカンの古い名前「橘」の実が黄色く色づく時期をいいます。日本書紀によると、田道間守(たじまもり)が不老不死の理想郷、常世(とこよ)の国に遣わされ持ち帰ったのが「橘」だといわれています。私たちが手軽にむいて食べるミカンと同じミカン科ですが、酸味が強く生食には向きません。寒くなると色づき冬の食卓、特に鍋物にはポン酢として欠かせない柚子やすだち、かぼすが、今では身近な「橘」に近い果実でしょう。

柚子は中国の揚子江が原産です。表面がデコボコした皮に香りがあり、お吸い物に一片の皮を浮かべるだけで、蓋をとった時に豊かな香りが広がります。冬至にはお風呂に入れてゆず湯に。すだちは徳島県で江戸時代から栽培されてきた徳島の特産品、かぼすは大分の特産品としてすっかりおなじみになっています。冬になると豊かになる柑橘類は、ついつい食べ過ぎてしまう年末年始の私たちの健康管理にも大いに役立ちそうですよ。

ダイダイ

ダイダイ


じっくり味わおう! うま味をたっぷり引き出して

長い冬にそなえて、日本各地では食材を確保するためにたくさんの工夫がされてきました。乾燥もそのひとつです。水分を抜くことで長い期間保存ができるだけでなく、新鮮な時とは違うおいしさの発見が魅力といえるでしょう。

皆さんは干し椎茸を食材として使っていますか? 乾燥したものは調理が面倒くさいから、と敬遠している方も多いかもしれません。でも考え方をちょっと変えるだけで乾物は便利な食材になるんです。何故かというと「時間にお手伝いしてもらえる」からです。乾物は水に浸けて戻さないと使えません。そこが面倒と思ってしまうところですよね。でも、干した椎茸をひとつ、水を注いだガラスのコップにいれて放っておいてみてください。寝る前や出勤前にたったこれだけ。朝の一杯の水のかわりに飲むのも良し、夕飯の味噌汁の出汁にするも良しです。やわらかくなった椎茸は煮ても焼いても揚げても、おいしいひと品のおかずになりますよ。

干し椎茸は乾燥という工程を経ることで、椎茸のうま味成分に酵素が働いておいしさが増すことが明らかになっています。干し椎茸のうま味と香りを引き出すには、5度程度の冷水に5時間以上かけてじっくり戻すのがコツとのこと。参考にしてみてください。

昆布、鰹節とならんで日本料理の三大うま味成分のひとつです。昔の人の知恵を今に伝えるおいしい食材をどんどん取りいれていきませんか。

参考:

宮崎県 山村・木材振興課『宮崎 原木乾(ほし)しいたけブック』

うま味のつまった干し椎茸

うま味のつまった干し椎茸

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