梅雨の季節になると湿度も高くなり、じめじめとした日が続きがち。人間にとって、湿度が高い環境はやや不快に感じますが、そんなじめじめとしたところを好む生物もいます。
そう、雨の日が増えてくると、植物などに姿を現すのが「かたつむり」ですね。都会では最近見かける頻度が減りましたが、ご存じのとおり、かたつむりは「でんでんむし」という別名があります。
♫でんでんむしむし、かたつむり〜と、童謡の歌詞でもおなじみですが、「でんでん」にはいったいどんな意味をもっているのでしょうか? 今回は、でんでんむしの由来に迫ります。
でんでんむしの「でんでん」とは?
──♫ でんでんむしむし、かたつむり
おまえのあたまはどこにある
つのだせ やりだせ あたまだせ ── ~童謡『かたつむり』~
だれもが聞いたことがある童謡の歌詞に出てくる、「でんでんむしむし~」というフレーズ。その語呂のよさからなんとなくスルーしがちですが、「でんでん」とはいったいどんな意味なのでしょうか?
みなさんもご存じの通り、かたつむりの体をつつくなどの刺激を与えると頭を引っ込めてしまう生態があります。昔からそのユニークな生態に興味をもったのが子どもたち。
刺激によってかたつむりが殻に閉じこもってしまった様子を見て、「早く頭を出してよ!」という意味を込めて、「出よ出よ」とかたつむりに話しかけたことから、「出よ出よ」➡「でんでん」に変化していったという一説もあります。
かたつむりの「つの」と「やり」はどこを指す?
童謡『かたつむり』に出てくるフレーズでもうひとつ気になるのが「♫ つのだせ やりだせ」という部分です。
「つの」は他の多くの動物にもありますが、かたつむりに置き換えてみると「触覚」を指していることが想像できますね。
ところが、かたつむりの場合、その「つの」が4本もあるということをご存じでしたか?
画像をみていただくと一目瞭然! 大きく動く触覚2本の下に、小さい触覚が2本存在するのです。これは、かたつむりは目が悪いといわれていることから、触覚の感覚を頼りにしていることが大きく関係しているといわれています。
では、「やり」はいったいどこを指すのでしょうか?
やりは頭の下にある器官「恋矢(れんし)」を指します。この恋矢は、繁殖時に使われるものとされていますが、驚くことに繁殖が終わると捨てられてしまう器官なのだそう……。こんなでんでんむしトリビアを知れば知るほど、ますます不思議な生き物に感じますね。
かたつむりを触るのは要注意
童謡『かたつむり』では、子どもがかたつむりに刺激を与える様子が出てきていますが、実はかたつむりを触るのは少々危険なのです。その理由は、かたつむりに寄生虫が棲息しているケースがあるからです。
危険な寄生虫がかたつむりに潜んでいると、触れただけで死にいたるようなこともゼロとは言いきれないのです。しっかり手を洗えば大丈夫という呼びかけもありますが、むやみやたらに触らないことが最大の安全策となりますので、とくに小さなお子さんがいる家庭では、かたつむりに興味本位で触らないようしっかり伝えておきましょう。
──ユニークでもあり、少し不気味な形のかたつむり。
季節を感じさせてくれる風情あるかわいい虫ともいえますので、見つけたら触らずに、その動きの変化を楽しんでみましょう。