1月から早春にかけて冬の庭先に彩を添えてくれる「クリスマスローズ」。「冬の貴婦人」と称される気品あふれる花をさかせます。花色も花模様も多種多様、一重、半八重、八重と咲き方もいろいろ、愛好家が多いのも頷けます。
クリスマスのこの時期から新しい年に向けて、エントランスやお庭やベランダに、美しい花を咲かせてみませんか?
クリスマスに咲くバラ?嘘?本当?
このクリスマスローズ、ヨーロッパから日本に伝わってきた時期は意外と古く移入植物の歴史上は江戸末期から明治初期の頃に遡ります。
実は「クリスマスローズ」の名称は、原産地のヨーロッパなどではヘレボルス属原種の1種類、ニゲルという種類のみをさし、その他の交配種の種類は、気温が暖かくなったキリスト教の四句節(四月レンテン節)にむけて2月~3月に花を咲かせるものも多く、「レンテンローズ」といわれています。
ニゲルはヨーロッパで花の少ない冬の12月末~1月とクリスマスの頃から白い花を咲かせます。「クリスマスの頃に咲くバラのような花」という意味で「クリスマスローズ」といわれています。また、このヘレボルス・ニゲルは「バラ科」ではなく実はキンポウゲ科の植物です。
日本ではなぜかこのクリスマスローズ、ニゲルだけではなく、原種、交配種を問わずヘレボルス属全体を「クリスマスローズ」と呼ぶようになり、寒く花の少ない季節に可憐な花をつける植物として園芸家や茶人に愛されてきました。
下向きに咲く風情から茶席に似合うと茶人に取り上げられ、「初雪おこし」と名付けられました。また、現在最も市場流通が多いと言われている交配種のクリスマスローズガーデンハイブリットは、クリスマス以降、春にむけて花を咲かせるものも多く、和名「寒芍薬」で茶席に飾られます。
このほか、葉を八手に見立てた名称「八手花笠」、節分の頃から咲くための名称「節分草」でも親しまれています。このように、一つの花に様々な名前をつけて愛でる茶人の感性は素敵ですね!
あなたのお好みのタイプは?
●シングル(一重咲き)
花弁が5枚の一重咲きです。原種のニゲルは30センチ以下ですが、交配種は30センチ以上の背の高いものも見られます。種類によって、花びらに縁取りのあるものや、中心の密栓に色がついているものなど、細やかなアレンジがされています。葉が斑入りのタイプもありますよ。
●ダブル(八重咲き)
花びらの模様は、スポットが密になり斑点の模様のようになっているものからグラデーションになっているものなどがあります。花びらの形状は、とがっているもの、ひらひらとしたものなどと雰囲気もさまざまですね。
●セミダブル(半八重咲)
密栓が花弁化し、小さな花びらのように変化したタイプのものです。なんとも神秘的な形状をしています。
一株で毎年楽しめる!簡単管理法
貴婦人のような繊細で美しい咲き姿とは裏腹に、陽当たりと風通しがよければ、丈夫でたくましい「クリスマスローズ」です。
過湿を嫌うので、水は土が乾いてから、完全に乾いたときのみたっぷりとやります。夏は直射日光のみ注意してください。
根元の風通しをよくするために、枯れた株元の葉を綺麗にします。また、咲き終わったら種が膨らみ始めると株が弱るため花色が退化してきたら、花茎を切るようにします。
植え替えは3月~5月もしくは10月~11月が適期です。夏は半休眠期なので肥料はいりません。そのほかの時期のみ肥料を定期的にやれば、再来年も楽しめます。
2018年も残すところあとわずかとなりました。大掃除や年賀状の季節ですね。お体に気をつけて元気にお過ごしください。