8月も残すところ約1週間となり、暑さが少しやわらいできました。これからはスポーツを見るのもやるのも、心地よい季節になってきますね。
そんな秋の気配を感じる8月終盤……明日24日は「ラグビーの日」に制定されていることをご存じでしょうか? 2019年には日本でラグビーW杯が行われ、世界の強豪国が集結します。ラグビーファンでない方にも、ぜひ注目してもらいたいのが強豪・ニュージーランド代表が見せる「HAKA=ハカ」なるパフォーマンス。手を叩き足を踏み鳴らす迫力満点の舞いには、一体どのような意味が込められているのでしょうか。
オールブラックスの象徴「HAKA=ハカ」とは?
ラグビーの世界で、ニュージーランド代表といえば自国だけでなく世界的にも「オールブラックス」の愛称で親しまれ、常に世界トップクラスに名を連ねる強豪国として知られます。そんなニュージーランド代表が、試合前に見せるパフォーマンスが「HAKA=ハカ」(以下・ハカ)です。
もともとハカは、ニュージーランドの先住民族「マオリ族」の民族舞踊でした。ニュージーランドはかつてイギリスの植民地でしたが、ニュージーランド議会が正式にイギリスから独立を正式承認されたのは1947年のこと。つまり、独立からまだ100年も経っていないことになります。
約1000年前にポリネシアの島「ハワイキ」からカヌーでニュージーランドにやって来たと伝わるマオリ族は、常に土地戦争、主権争い等にさらされてきました。そうした歴史から、マオリ族の戦士は戦いの前に手を叩き、足を踏み鳴らすことで相手を威嚇し、さらには自らの力を誇示する……その舞踊が「ハカ」の原型とされています。
ラグビー競技のルールを知らない人にとっても、ニュージーランド代表が試合前に行うパフォーマンス・ハカは大人気ですが、今日では相手を威嚇する意味合いよりも、自らのモチベーションアップの意味合いが強いようです。
ところで、ハカはどんな歌?
ハカには2種類のものがあります。
■カ・マテ
■カパ・オ・パンゴ
「カ・マテ」は、19世紀初頭から伝わる伝統的な舞い。
一方「カパ・オ・パンゴ」はオールブラックスのためにつくられたという比較的新しい舞いで、伝統的な「カ・マテ」は下記のような歌詞で構成されています。
── 私は死ぬ!私は生きる!私は死ぬ!私は生きる!
── 太陽を輝かせた、毛むくじゃらの男が上がってくる!見よ!この勇気ある者を!
── 再び太陽を輝かせる!
── 一歩はしごを上へ!一歩上へ!そして最後の一歩!そして外へ一歩!
── 太陽の光の中へ!昇れ!
もともとは戦いをイメージさせる舞踊であったハカ。歌詞には、戦いに臨むマオリ族の決死の思いや、勇敢さが表れていますね。
一方のオールブラックスのためにつくられた「カパ・オ・パンゴ」の歌詞は、このようなもの。
── 鋭く叫べ!オールブラックスよ!
── 国をひとつにさせてくれ!鳴動するわれらの国よ!
── 今だ!今こそわれらの国が奮起するとき!
── われらこそオールブラックス!今こそがその時だ!
── われわれが支配し、その優位は偉大なる勝利に!
── われらこそオールブラックス! われらこそオールブラックス!
戦いに臨むオールブラックスの賛歌「カパ・オ・パンゴ」の意味は、「黒い服の戦士と、銀の羊歯」。「黒い服の戦士」は、その名の通りオールブラックスのことで、「銀の羊歯」は「シルバーファーン」を指します。
「シルバーファーン」とはニュージーランドの国章であり、ニュージーランド航空のロゴに使用されているニュージーランドの象徴する植物・シダのこと。ニュージーランド・ナショナルチームのロゴとしても有名ですね。こうした背景を知ると、大事な試合の前に歌われる意味あいが理解できますね。
冠婚葬祭で披露されるハカ
かつてハカは、戦闘時に相手を威嚇する舞踊でしたが、今では冠婚葬祭の場でも披露されるようになっており、その様相は大きく変化しています。戦いだけでなく、結婚式や葬式、功績を称えるためのイベントで披露されるなど、特別な場面でハカが披露されるようになっているのです。
また、オールブラックスが披露する男性的な荒々しさに満ちたハカではなく、女性が披露するエレガントな雰囲気のハカもあるそう。今では、先住民であるマオリ族の文化を伝える大事な役割をハカが果たしているのでしょう。
── 筋骨隆々の勇ましいオールブラックスの面々が、一斉に手を叩き、足を踏み鳴らす大迫力のハカは、リアルに観るのはもろちんテレビで観ても感動間違いなし! 試合を目前にしたオールブラックスの鳥肌必至のパフォーマンスに、ぜひとも注目してみてくださいね。