この冬は例年より寒さが厳しいようです。今年に入ってからも、“過去最強クラスの寒気”といった言葉をよく耳にします。ご高齢の方からは「昔の東京はもっと寒くて、雪も積もってかまくらだって作ったよ」といったお話を聞くこともあります。が、それでも寒いものは寒い!
ということで今回は、地球上でも最も寒い地域、南極についてご説明します。ちょうど1月29日は「南極の日」。南極での暮らしぶりは以前、映画にもなって話題となりましたが、日常とはかけ離れた不思議な世界です。
12月14日と1月29日。二つの「南極の日」……その違いとは?
南極の日は二つあります。
ひとつは、12月14日「南極の日」。そしてもうひとつが1月29日「南極の日 昭和基地開設記念日」です。
12月14日はノルウェーの探検家、ロアール・アムンゼンが南極点に到達した日。1911年の同日、アムンゼンが世界で初めて南極点到達を成し遂げました。
一方、1月29日は日本の観測基地、昭和基地が開設された日。リュツォ・ホルム湾の東、東オングル島にあります。
この時活躍した初代南極観測船の宗谷は、もともとは民間で使われた後、日本海軍の特務艦となり、さらに戦後は海上保安庁の灯台補給船、巡視船を経て、南極観測船になるという経歴を持っています。第一次観測では氷に閉じ込められ、苦労を乗り越えて今の南極観測の礎を築きました。
ちなみに、1961年に発効した南極条約によって南極はどこの国にも属さず、軍事利用も禁止されています。
地球の氷の約9割が南極にあるなんて、すごいですね!
南極大陸はオーストラリア大陸の約2倍の大きさがあり、その98%は氷に覆われています。約3000万年の間に降り積もった雪が溶けずに、氷となって残っています。その厚さは最も厚いところで約4500mにおよび、平均でも約2450m! さらに驚くべきは、地球上の氷の約90%が南極にあるといわれている点です。
また、北極と南極、どちらがより寒いのでしょうか……。答えは南極です。
北極の氷の厚さは厚いところでも10mくらい。さらに北極には陸地がありません。陸よりも海のほうが温かいため、寒さ対決で戦えば、南極のほうに軍配が上がることになるのです。
オーロラが輝く仕組みは、実は蛍光灯と同じ?
南極の空に輝くオーロラ。赤や緑などさまざまな色の光を放ちながら、幻想的な景色を空に広げます。巨大な光のカーテンのようです。
この現象は地球の磁力と関係があります。南極は磁石でいうとN極。太陽から届く電子や陽子がこの磁石に引き寄せられ、空気の原子や分子とぶつかって光を発します。この仕組みは、私たちは日ごろ使用している蛍光灯と同じ原理なのです。
南極で風邪をひかないってホント? その理由とは?
地球上で今までに記録された中で、最も低い気温とされる「−89.2℃」は、1983年7月21日に南極のボストーク基地で観測されたもの。私たちが「寒い、寒い」と言っている時の気温とは比較にならないレベルですね。
氷点下の気温にさらされることの少ない関東在住の人であれば、南極に数時間いるだけですぐに風邪をひいてしまいそうですが、意外なことに南極では風邪をひかないそうです。
というのも南極の空気はとてもきれいだから。細菌やウイルスなどが大気に舞っていないので、風邪をひかないといわれているのです。そのため、南極地域観測隊の隊員たちは、南極に向かう前には病原体を持ち込まないよう、風邪はもちろん、虫歯や水虫まで完治させてから出発するそうです。
一方で多いのが歯の治療。ですがこれ、虫歯ではありません。内陸のほうに行くときなど水が貴重なため、歯が磨けず、ケアが必要になるからのようです。また、強い寒さのため歯の収縮率と歯の詰め物の収縮率との差から、歯の詰め物がとれてしまうこともあるようです。