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今日は入梅。アレ、梅雨入りはもう発表されてるのに何故?


南から順に梅雨入りが発表されていますが暦の上では今日が入梅(にゅうばい)。中国で梅の実が熟する頃の雨の季節を梅雨(めいゆ)と呼んでいたものが日本に伝わったということです。この日から30日間が梅雨(つゆ)の期間ということになります。お米を作るため、また多くの作物のためにも雨は恵みなのですが、降りすぎても災害につながり多くの人を悩ませます。ほどよい雨を期待したいですね。

雨の日、出掛けるのはちょっと憂鬱。でも素敵な傘があれば楽しいかもしれません。傘っていつ頃から使われていたのかしら?


もともと傘は日除けだった!

雨の日に傘をさす。今では当たり前のことですが、古代から傘は高貴な人が外出する際に日除けとして使っていたようです。そう、傘といえば日傘だったんです。映画『マイ・フェア・レディ』をご覧になった方はアスコット競馬場のシーンを思い出してください。オードリー・ヘップバーン演じるイライザが華やかに着飾り大きな帽子をかぶっていますが、その手には白いレースをふんだんに使った日傘を持っているのです。日傘は淑女の身だしなみだったのですね。クロード・モネの日傘をさして野山を散歩する婦人の絵もまた思い出されます。

それでは雨の時に傘をさすようになったのは何時のことなのでしょうか? 細くキリッと巻き上げた雨傘を持っているのが英国紳士というイメージがありますが、その姿が認められるまでにはひとりの男性の苦闘があったようです。その人の名はジョナス・ハンウェイ。18世紀に海運業で世界をまわり富を得ました。見聞を広めたハンウェイ氏は傘をさして雨をしのぐのを見て「これは便利だ」と、帰国したロンドンで雨の日に傘をさして歩いたそうです。すると女性の傘を使う女々しい奴だとか、馬車も使えない貧乏人などと周りから白い目で見られたそうです。世界で成功したハンウェイ氏はそんなことではめげません。雨が降るたびに傘をさして歩き続きけたそうです。やがてその便利さを皆が認めて真似するようになり、傘はイギリス紳士のシンボルにまでなったのです。


日本では「傘」も「笠」もありますよ!

時代劇でお馴染みなのはお侍が被る陣笠、町人や百姓にはすげ笠、そして旅人がよく被っている三度笠があります。そうそう女性にはうすいベールをかけた市目笠がありました。どれも大きく日差しや雨、また人目からも守ってもらえそうですね。この「笠」は直接頭にのせるもの。そして「傘」は字の形からもわかるように、柄を手で持つ私たちがふだん使う傘です。

和傘の材料は竹と紙、雨傘は紙に油を引いて防水をしました。朱や紺色の地に先端の石突きを中心に白い輪を描いた模様は、開いた時まるで蛇の目に見えることから蛇の目傘と呼ばれるようになりました。時代劇では浪人が長屋で傘張りをして糊口をしのぐ姿がお馴染みですが、すこしあわれを感じます。かっこいい傘だってあります。『青砥稿花紅彩画』(あおとぞうし はなの にしきえ)通称「白浪五人男」稲瀬川勢揃いの場です。「志らなみ」の字を染め抜いた番傘をさして、花道を堂々と伊達男ぶりを披露して舞台に進みひとりずつ名乗りをあげます。見栄を切るときの傘の使い方がなんとも決まってかっこいい! 声がかかるのも当然の流れと納得できます。

雨の多い日本で傘や笠は必需品です。身近だからこそおしゃれに使いたい、かっこよく使いたい。そんな思いが歌舞伎の小道具として、また時代劇でも笠を飛ばして斬り合いに入る、なんていう見せ場として巧みに使われているのかもしれません。


梅雨の空を楽しく過ごす傘は?

あなたのお気に入りはどんな傘でしょう?

ビニールの傘は前が見えて便利、それにコンビニでいつでも買えるし、けれど強い風にすぐ壊れてしまって残念という方もいらっしゃるでしょう。最近はビニールの傘でも、エリザベス女王がさされて話題になったお洒落なものから、丈夫で風に負けないプラスチック製のものまで多彩です。やっぱり生地のしっかりしたものが好き、色のきれいな華やかな柄がいいわという方、コンパクトで軽いのが一番、とひとりひとりにこだわりがあることでしょう。みんなが傘を使うこの時期、お互いに傘をかしげて譲り合ったり、濡れた傘のしずくが隣の人にかからないように、と心遣いすることも忘れないようにしたいものです。

使い終わった傘は家に戻って濡れたままにしておくと、バクテリアが繁殖して臭うようになってしまいます。必ず乾かしましょう。たまには洗剤で洗って干してしっかりとお手入れをすれば長く使えるということです。お気に入りが見つかったら、着るものと同じように傘を大切につかうことで、鬱陶しいこの時期も楽しく過ごせるのではないでしょうか。身近な傘に少し思いやりを持ってみませんか?

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