
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は10日、イスラエルがイラン核施設攻撃後もイランの高濃縮ウランの一部が被害を免れて残存していると結論づけたと報じた。核兵器級に近い水準で、イラン核技術者に取り扱われる可能性があるという。イスラエル政府高官の話だとしている。
NYTによると、米軍がイラン核施設を攻撃した際、高濃縮ウランの多くが中部イスファハンの核施設に貯蔵されていたという。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、イランが高濃縮ウランを攻撃前に別の場所に運び出したとの見方を示したが、この政府高官はイスファハンの貯蔵場所は大型の地下貫通弾(バンカーバスター)でも破壊が難しいほど地下深くにあり、「何も動かされていない」と反論。欧米の情報機関関係者も多くの濃縮ウランが米軍に攻撃されたイスファハンなどの核施設のがれきに埋もれているとの見方を示しているという。
一方、イランが米国やイスラエルに察知されずにがれきを掘り起こすのは困難とみられる。NYTは、イランが核開発計画を再開させる動きをみせれば再び米軍やイランの攻撃を誘発する可能性があると指摘している。トランプ米大統領はイランが警戒すべきレベルまでウラン濃縮を行えば、再び空爆すると明言している。【ワシントン金寿英】